<解説> 「市政刷新」民意つかむ
2019年4月22日
現職と新人が激しく競り合った瑞穂市長選。有権者が市政のかじ取りを託したのは、市役所を退職して刷新を訴えた新人の森和之さんだった。
同市は、公共下水道や合併浄化槽でし尿や排水を処理する人口の割合が57・9%(二〇一八年度末)と、県内の市町村で二番目に低い。市の玄関口・JR穂積駅周辺の再開発構想は道半ばだ。
森さんは、下水道整備が現職のもとで進展しなかったと指摘。同駅周辺では、ロータリーの安全対策などから早急に手を付けるべきだと主張した。現市政を「停滞」と批判し、政策実現のスピードを重視する姿勢が有権者の心をつかんだ。
市は人口増が続くが、現状では三〇年ごろをピークに減少に転じるとの見方がある。小中学生の給食費補助の段階的な拡大など長期的な対策も示した。
昨年春、出馬を念頭に市役所を早期退職。各地をくまなく回り、知名度を徐々に上げた。統一選前半戦の県議選で初当選した元市議と連携して、互いに票を掘り起こす戦術も奏功した。
行政マンから、決断と実行力が求められるトップへ脱皮できるか。手腕を注視したい。
(秋田佐和子)