一票の格差、最大2・79倍 県議選、29日告示
2019年3月28日
統一選前半戦で行われる県議選の各選挙区で、議員一人あたりの有権者数を比べた「一票の格差」は最大二・七九倍に上る。都市部と郡部で人口の二極化が進む中、専門家は「抜本的な制度改革がなければ格差はさらに拡大する」と指摘する。
三月一日現在の有権者数を基に、議員一人あたりの有権者数を計算した。最少は安八郡(安八町と輪之内町、定数一)で、最多は隣接の羽島市(定数一)。有権者数の差は二・七九倍となり、安八郡なら一票でも羽島市では〇・三六票の価値しかないことになる。羽島市の松井聡市長は「代表の数が多いほど市民の声が届く。是正できるならしてもらいたい」と話した。
今回の県議選では、美濃市(定数一)が二〇一五年の国勢調査の結果、人口が公職選挙法で定める基準を下回ったため、隣接の関市(定数二)と「強制合区」された。定数是正や区割り見直しなど、抜本的に選挙制度を見直すチャンスでもあったが、県議会では大きな議論にはなっていない。
地方議会の一票の格差を巡っては、三重県議会が一四年に議員定数を五一から四五に減らし、昨年三月、再び五一に戻すなど、試行錯誤が続いている。島しょ部を除いて、最大一・九二倍の差があった一三年の東京都議選についての訴訟では、最高裁が一五年に適法と判断した。
愛知学院大の森正教授(政治学)は「一票の平等か、議員の地域の代弁者としての役割を優先するのかという問題になる。さらに地域間格差が広がれば、合区などの対応では限界が来る。選挙制度改革の議論を早急に始めるべきだ」と話している。
(長崎高大、安福晋一郎)
◆心配される低投票率
平成最後の県議選(定数四六)が二十九日、告示される。投開票は四月七日。災害への備えや、人口減少社会への対応などが争点となるが、全二十六の選挙区のうち十六で無投票が予想されている。過去最多だった十七だった二〇一一年に次いで多く、低投票率が心配される。
過去の県議選では、戦後初となる一九四七年は定数五二に百六十七人が出馬、二十二の選挙区すべてで選挙戦となり、投票率は85・71%を記録した。以後は、低下が続き、〇三年以後は50%前後で推移している。
県選管は期間中、県議選に向け製作した啓発用キャラクター「鵜飼めいすいくん」「さるぼぼめいすいくん」の着ぐるみを使った啓発活動を商業施設で展開するほか、映画館のCM、コンビニに掲示したポスターなどで投票を呼びかける。
(稲田雅文)