統一地方選2019

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<自治って何> (5)若者の低投票率

2019年3月27日

統一選での活動について話し合う朝日大の「こぞって投票にいこまいプロジェクト」のメンバーら=瑞穂市で

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 若者の投票率をアップさせるにはどうしたらいいのか。瑞穂市の朝日大の食堂で「こぞって投票にいこまいプロジェクト」のメンバーが話し合っていた。

 沖縄県石垣市出身の浦崎竜海さん(19)=法学部一年=は昨年三月、地元の市長選に一票を投じた。石垣島への陸上自衛隊部隊の配備計画の是非が争点となった。安倍政権と、当時の翁長雄志知事との「代理対決」と言われた白熱の選挙だったのに、同世代の間ではあまり話題にならなかった。

 「投票するには知識が必要だ」。若者の関心を呼ぶための情報を若者の手で届けよう、となった。地元の瑞穂市長選の立候補予定者を招いた公開討論会を企画した。

 選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられてから初めての統一地方選だ。地方政治への若者の関心は薄い。県議選でいえば、四年前の二十〜二十四歳の投票率は24・08%と全世代平均の半分。一九八七年と比べると22ポイントも下がった。

 岐阜大教育学部で、社会科を学ぶ学生たちのグループ「県若者の選挙意識を高める会」は、これまでの投票の呼び掛けを見直そうとしている。代表の鳥村悠登さん(21)=岐阜市=は「啓発チラシを配っても、効果があるかは疑問です」。

 メンバーの一人、森史花さん(21)=美濃市=は、選挙権年齢が引き下げられてから初めての国政選挙となった二〇一六年の参院選、翌年の知事選と、いずれも投票に行った。高齢化の進展で、将来、若者の負担が増すことを危ぶんでいる。政治には興味がある。それ以上に、両親が欠かさず投票に行く姿を見て育った。「子どもの頃からの環境も大きいと思います」

 グループは今、「主権者教育」に力を入れている。今年一月も岐阜市で小学六年生に授業をした。子どもたちが身近に感じられるストーリーで、社会集団の中で発生する問題について、解決の道筋を考える。

 読書習慣をつけるため、全児童が本を借りるようルールで定める学校がある。そこで、本を返さない人がいたらどうしたらいいか? それぞれ違う解決策を主張する人たちのなかから、誰がリーダーにふさわしいかを話し合って決める。鳥村さんと森さんは「全員が本を返却したクラスを表彰する」や「返さない人に本の整頓をするボランティアをしてもらって、本の大切さを分かってもらう」が、選ばれると思っていた。

 予想に反し「全児童が本を借りるルールがあるのがおかしい。ルールをなくそう」と訴えるリーダーが支持された。本に興味がない人が借りるので、返さずにほったらかしにするというのだ。

 森さんは「子どもたちはルールを守らせることよりも、借りたい人が気持ち良く利用できることを考えていた」と感心した。

 授業だけでなく、普段の学級生活から、ルールや目標決めで、子どもたちが自由に発言して、批判し合える環境にしたい。社会科教諭を目指す鳥村さんは「幼いころから、自分の意見を持ち、批判能力を鍛えるのが大切。学級生活をいかに社会の縮図にしていくかを考えたい」と言う。 (高橋貴仁)=終わり

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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