統一地方選2019

メニュー

<自治って何> (2)増える外国人

2019年3月23日

新装なった公園の見学会。美濃加茂市は外国人が地域に溶け込めるようにさまざまな取り組みを展開している=同市御門町のリバーポートパーク美濃加茂

写真

 フィリピンから十年前に来日した美濃加茂市の主婦エギド・ベルリンさん(31)は、まだ日本語が話せない。一年前に長女が生まれて病院に通うようになり、医師や看護師の言葉が理解できないことに困った。

 それで、昨年十一月から外国人向けに市が開いている生活講座に通っている。火、木曜日の昼間、税金のことから自治会の役割まで暮らしに必要な知識を学ぶ。まちのことを知るため、国際交流員とコミュニティーバスに乗り公園の見学に行った。「ごみ出しのやり方が分かった。近所に友達もできた」

 一日現在、市内には約五千人の外国人が暮らす。全人口に占める割合は8・7%と全国的に見ても高い。ブラジルやフィリピンから来た人が多く、七割が働き盛りの二十〜四十代。地域に溶け込み、自立した生活が送れるようになれば、新たな街づくりの担い手となりえる。市は、外国語版の広報紙や会員制交流サイト(SNS)で講座への参加を呼び掛けている。

 隣の可児市は、市人口の7・4%(七千五百八十人)を外国人が占める。一九九〇年以降、製造業の現場で目立つようになった。

 ブラジル人のマルコ・ヌマタさん(35)は今月初め、妻のクレザさん(31)と一緒に部品洗浄の仕事を始めた。来日はこれが二度目。二〇〇八年に初めて来日したときは美濃加茂市、愛知・三重県を転々とした。一五年にいったん帰国したが、満足な仕事に就けず、再来日した。「市役所や病院に通訳がいて便利。住みやすい」と可児の印象を語る。

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が来月施行となる。これまで以上に、生活習慣も意識も多様な住民が増える。自分たちの代表を選挙で選べない外国人の声は、どう市政に反映させればよいか。「情報収集が必要だ」。議会の中から声が上がり始めた。

 議長の沢野伸さん(45)は「たとえば、災害が起きたらどうなるのか。対策を考えるために、外国人から議会が直接、話を聞くことも検討したい」と言う。

 クレザさんは、住民交流がもっと活発になってほしいと願う。「日本に長くいるのに、日本人の家や生活がどんなふうになっているのか知らない。日本人の友達がほしい。もっと日本の文化を教えてほしい」

 美濃加茂市の伊藤誠一市長(62)は「日本人からあいさつしたり、ゆっくりと分かりやすい日本語で話すことも大切だ。お互い、もう一歩、踏み出してほしい」と、市民レベルでの共生を呼び掛ける。外国人の増加で、自治のかたちに変化の兆しが生まれている。

 (織田龍穂、平井一敏)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
ページトップに戻る

Copyright © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.