<議長アンケート>(下) 女性議員を増やすには?
2019年3月14日
県内に女性ゼロの議会は珍しくない。男女の候補者数を均等にするよう政党に促す「政治分野の男女共同参画推進法」が成立し、初めて迎える統一地方選で議会の男社会は変わるのか。
県と四十二市町村議会の議長へのアンケートで「女性議員が少ない背景には何があると思うか」を複数回答で聞いたところ、最多は「家庭生活(子育てや介護など)との両立が難しい」(三十三人)だった。「家庭や周囲の理解を得づらい」(三十二人)「政治は男性のものという考えが強い」(十五人)が続いた。
女性ゼロの議会は、全体の16・3%にあたる七議会(関市、池田町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川村)がある。定数に対する女性議員の比率では最も高い御嵩町(定数一二)でも25・0%にしかすぎない。市議会で最も高い各務原市(定数二四)は20・8%。県議会(定数四六)は6・5%、岐阜市議会(定数三八)は13・2%だった。
アンケートで、必要な施策を聞いたところ「女性の政治参加のための有権者の意識啓発」(二十七人)が最も多かった。
◇
◆飛騨市の女性議長
女性の政治参加を進めるにはどうしたらいいか。県内には二人しかいない女性議長の一人、飛騨市議会の高原邦子さん(61)に聞いた。
大学時代、国会議員の選挙を手伝ったことがきっかけで、政治家になりたいと思った。結婚して移り住んだ旧神岡町(現・飛騨市)で娘四人の育児に追われる中、夢はあきらめかけていたが「本当はどう考えてるの?」と夫から言われたことが背中を押した。二〇〇二年の町議選で初当選を果たした。
「私の場合は、運良く夫や身近な人が理解してくれた。でも、そうじゃない女性はいっぱいいる」
世間を見渡せば、地域の顔役は男性ばかり。地方都市で「普通の女性」が、子育てや仕事を議員活動と両立させながら票を集めるのは容易ではない。「政治は男性のものだという意識を変えなければいけない」
だからこそ「女性議員はしっかり勉強し、実績をつくらないといけない」と自戒を込める。学校教育でもっと一票の重みを教えることも必要だと言う。「有権者の気持ち次第で政治は変えられる。きちんと選挙に行って民主主義を育ててほしい」と訴える。
(杉浦正至)