<県議選・政党の戦略> (上)自民、公明
2019年3月11日
「全員当選を目指す」
二月十五日、統一地方選に向け、岐阜市内で立ち上げた自民県連の選挙対策本部。村下貴夫幹事長(県議)はこうぶち上げた。前半戦の県議選で狙うのは、県議会「一強」からのさらなる議席の上積み。視線の先には夏の参院選がある。
県議会の定数四六のうち、自民会派「県政自民クラブ」の現有議席は七割にあたる三十三に上る。全国六位の党員数、国政選挙では、県内で衆参の全選挙区を独占。そんな分厚い支持基盤を背景に、候補者の擁立を周到に進めてきた。
県内でも党勢が伸び悩む野党を尻目に昨年春以降、計三十二人(現職二十八人、新人四人)の公認を発表。二〇一五年の前回選で自民候補を破った山県市(定数一)の無所属現職まで取り込み、推薦を決めた。
大所帯だけに、一枚岩というわけではない。下呂市、本巣市、羽島市(いずれも定数一)では、続投を狙う現職に対抗して新人が出馬する。いずれも県連は公認を出さない。自民系候補同士が無所属で争う分裂選挙の可能性が高い。
ただ、この三選挙区を含めると、自民系候補は県内全二十六選挙区に立つ。県連は、分裂した三選挙区でも勝ち上がった候補が会派入りすれば最大三十六議席まで上積みできる、としたたかにそろばんをはじく。
鍵を握るのが激戦区での勝敗だ。新人が無所属現職に挑む瑞浪市(同一)のほか、現職が前回も同じ無所属新人と接戦を演じた瑞穂市(同一)、現職四人が並び立つ岐阜市(同九)など。合区された関市・美濃市(同三)では無所属元職を含めた四人の出馬が見込まれ、自民現職三人は互いに地盤を食い合いかねない。
県連は、告示日に無投票の選挙区で当選を決めた候補を、こうした激戦区に応援のため投入する方針だ。
十二年に一度、統一選と参院選が重なる亥年(いどし)は自民支持組織が選挙疲れを起こす、との説もささやかれる。村下幹事長は「統一選に勝ち、勢いを夏の参院選までつなげたい」と語る。
一方、安倍政権で自民と連立を組む公明は長年、岐阜市(定数九)で二議席を確保し続けており、今回もその死守に全力を挙げる。
前回は七位で初当選した若手現職のてこ入れなどに力を入れ、福祉や防災など重点政策のアピールを強化。統一選の後半戦となる市町議選とともに、党勢拡大の好機と位置付ける。
他の選挙区では候補を擁立せず、自民の公認・推薦候補二十九人を県本部として推薦する。水野吉近・県本部代表(県議)は「党中央が打ち出す政策を地方に反映させ、自公で古田肇県政を支えたい」と語る。
◇
統一地方選の前半戦と位置づけられる県議選(四月七日投開票)の告示が、二十九日に迫った。各党の現状と戦略を二回に分け紹介する。
(統一選取材班)