松崎町議選 不信任決議の町長、新人を応援
2019年4月19日
町長派の候補者を激励する長嶋精一町長(左)=松崎町で |
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不信任決議を受けた長嶋精一町長(68)が議会を解散した松崎町議選(定数八)は、十二人が立候補し選挙戦が大詰めを迎えた。投開票は二十一日。長嶋町長は告示日から、町長派の新人や元職候補の応援に積極的に動き、反町長派は「露骨な選挙応援だ」と町長の姿勢を批判。激しい選挙戦を展開している。
「新しい人が当選したらじっくり話をしてまちづくりに反映させたい。考えが近い候補者は不信任決議案に賛成した前職六人を除く六人」。告示後の取材に長嶋町長はそう話し、町長派と反町長派が六対六で組み合う構図が鮮明になった。
長嶋町長は、公務の合間に自派の新人候補を応援。マイクを握り「町議も血の入れ替えが大事で新しい人を求めている」と訴える。不信任決議案に賛成した前職六人については「私ぐらい大まじめに町のことを考えてほしい」と批判した。
一方、不信任決議案に賛成した反町長派の候補の一人は「町長の選挙応援は露骨だ」と応戦。「町長が決議案を出されること自体が恥ずかしいことで有権者にも説明していく」と対抗心を燃やす。別の前職は「選挙後に不信任決議案が再提出されて可決すれば町長が失職するのが今回の選挙」と遊説先で争点を訴える。
同町議会は三月、「町長の町政運営が独善的」として賛成六、反対二で不信任決議案を可決し、長嶋町長は議会を解散した。選挙後に初招集される臨時議会で決議案が再提出され、五人以上が賛成すれば、町長は失職する。
町議会事務局は当初、町議会の過半数は「議長を除く四人以上」と説明していたが、「五人以上」に訂正した。同案は議長も採決に含むことが地方自治法で定められていることを確認したためだ。
有権者も通常の町議選との違いを感じている。長嶋町長が帯同する新人の街頭演説を見た女性(80)は「町議選で町長がついて回る候補者は聞いたことがない」と驚く。ただ「町長と議会が対立している理由や町を良くしてくれる政策の中身が見えなかった」と不満を漏らした。
(中谷秀樹)