旧新居町と合併して新・湖西市となってから、来年で十年を迎える。湖西市議選（定数一八）の候補者二十人へのアンケートで「湖西市は一つになったと思うか」と尋ねたところ、「思わない」を選んだのは半数近い九人で、「思う」は二人だけだった。残る九人は「どちらとも言えない」だった。

　前回選の候補者十九人への同様の調査では、合併から順調に移行しているとの回答は七人。四年後の今回の候補者の多くは、まだ地域差が埋められていないと実感しているようだ。

　「思わない」「どちらとも言えない」の理由として、市内に商工会や観光協会が二つずつある点を挙げたのは二人。県商工会連合会によると、県内三十五の商工会のうち、一行政区に二つあるのは湖西市のみ。同連合会は組織強化や経費削減などの利点からも合併を勧める。

　湖西市商工会の佐原正晃会長は「新居町商工会は商業、湖西市側は工業と、主な業種が大きく異なり、今のまま一緒になるのは難しい」との考え。その上で「県の方針もあり、合併の方向に進まざるを得ないだろう」と模索する。

　一方の新居町商工会の片山雅博会長は「会員の中にまだ商工会合併への機運がない」と口にする。「行政サービスの低下など、合併に不満を持っている旧新居町民もいる」とし、タイミングを考える必要性を話した。

　「思わない」「どちらとも言えない」を選んだ理由として、地域を超えた交流が少ないことや、住民の意識を変える難しさなどが挙げられた。公共施設の再配置を進める必要性を指摘する意見や、「無理に統一する必要はない」と記した候補者もいた。

　「思う」の理由には、合併により知名度が上がって観光客が増えたことや、新居地区から大きな不満が聞こえない−があった。

（片山さゆみ）