統一地方選2019

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松崎町長不信任で議会解散 主導権争い町政を左右

2019年4月14日

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 統一選後半戦の松崎町議選が、様相を一変させている。当初の任期満了による町議選から一転、町議会の不信任決議を受け長嶋精一町長(68)が議会を解散したためだ。選挙日程は予定通りだが、定数八を前職八人と新人三人、元職一人の計十二人が争う激戦となる見込み。改選後には不信任決議案の再提出が確実視されており町長派、反町長派の議席数が町政の行方を左右しそうだ。

 明治のなまこ壁の街並みが残る人口六千六百人の小さな町が揺れている。長嶋町長は静岡銀行執行役員、町議を経て二〇一七年十二月の町長選で初当選。強いリーダーシップとスピード感ある施策の実行を打ち出したが、議会や町民から反発もある。町議会は三月十三日、「町政運営が独断的」「意にそぐわない職員への恫喝(どうかつ)がある」とする長嶋町長の不信任決議案(四分の三以上の賛成で可決)を賛成六、反対二で可決。町長は同十九日、議会解散に踏み切った。

 反町長派は改選後に不信任決議案を再提出するとしている。議長を除く、過半数の四人以上で可決されれば、町長は失職する。

 立候補予定者のうち反町長派は、不信任決議案に賛成した前職の六人。町長側が擁立に動いたとされる元職、新人計四人と、決議案に反対した前職二人を合わすと反町長派と拮抗(きっこう)する。

 決議案に賛成した前職の一人は「辞職せず議会を解散したことが町長の返事だと思っている。決議案を再提出することになる」と語気を強める。別の前職も「町長が反省し心を入れ替えてほしいと思っていたが無理だった」と言い切った。

 新たに出馬予定の一人は「町長派と思ってもらって結構。町長の考え方に共鳴できるところがあり、建設的な話をしない今の議会の態度にも問題がある」と断じた。別の立候補予定者は「町長の関係者から出馬の打診を受けたが、当選すれば町長にも議会にも改善点があれば指摘していく」と説明した。

 有権者はどう思うのか。主婦(69)は「長年要望していた地元の道路整備が、長嶋町長が地権者の問題を解決してくれて、ようやく始まる。行動力がある町長に考えが近い人を選びたい」と話す。会社経営の男性(30)は「議会との対立に巻き込まれる町長の政治能力が低いと思う。町の将来を真剣に考える人に投票したい」と語った。

 「この地域は『親戚選挙』なので関係ない」(七十二歳女性)、「人口も減って働き口がない町で議員に期待していない。家族と親戚で十数票あるが、いろいろなところが投票を頼みに来ると思う」(八十八歳女性)と冷めた声もあった。

 長嶋町長は「選挙期間中に自分に近い候補者の応援をするかどうかはノーコメント。本当に働く議員に当選してほしい」と話す。立候補者が定数より四人多くなれば、平成以降最多となる。町選管は「いつも以上に関心が高くなるのでは」とし、投票率は前回二〇一五年の74・70%を上回ると予想する。

(中谷秀樹)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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