統一地方選2019

メニュー

県議選 白鳥浩・法政大院教授に聞く

2019年4月9日

◆有権者「バランス感覚」発揮

写真

 七日投開票された県議選や静岡、浜松市長選は全国的な傾向と同じく、自民が地方政治でも「一強多弱」ぶりを見せつけ、有権者は地方自治の進め方や多選に一定の疑問を投げ掛けた。夏に迫る参院選に向け、今回の結果をどうみるべきか。静岡の地方政治も研究する白鳥浩・法政大院教授(写真、現代政治分析)に聞いた。

 −総じて、統一選の結果をどうみたか

 有権者の絶妙な「バランス感覚」が発揮された。参院選の前哨戦として、各政党はそれぞれに存在感を示そうとした。

 −静岡、浜松市長選は現職がやや苦戦した(現職の得票率は静岡で49・6%、浜松で55・1%)

 接戦は予想外ではない。静岡では経験豊かなアイデアマンで、選挙も強い旧市の元市長が強力な存在感を放った。県と市の関係性も問題提起した。浜松では若い自民系候補が区の再編反対を訴え、健闘した。ともに現職の多選批判に加え、対立候補の訴えが説得力をもって有権者に届いた。

 −浜松の住民投票は市の三区案に反対多数

 三区案は地方切り捨てにも映るし、有権者に違和感を持たれた。大阪でも問われたように、大きな権限を持つ政令指定都市のあり方をどう考えるか。再編は行政の効率を考えてのことだが、市民にとっては区は小さく、身近なほうがありがたい。その非効率性こそ、民主主義にかかるコストとも言える。浜松のコスト削減効果が七億円と言うのは、それほどでもないと感じられたのではないか。

 −自民は堅調。県議会でも過半数を維持した

 地方も「一強多弱」。県内には国政の野党第一党、立憲民主の国会議員がいない。国民民主が県内野党の主導権を握る形となったが、民進分裂の影響で(支持母体の)連合は候補の擁立や一本化にも苦心した。

 −参院選に向けて

 両市長選に共産系の候補が出馬したように、どの党も存在感を示し、参院選につなげようとした。野党の主導権争いといった側面もあったが、県議選では自民に加え公明も勢力を維持する一方で、野党は減じた。野党勢力の再編が課題であることが示された。

 −今後の野党共闘はどうみる

 「安倍政権ストップ」など単なる組織的な対立軸をあおる手法ではだめ。国民はアベノミクスでそこそこ財布が豊かになった。アベノミクスに代わる経済施策を打ち出すなど、政策的な対立軸を明確に示せない限り、野党の復権はない。参院に解散はなく、任期は六年。二〇〇九年の政権交代も〇七年参院選で民主党が大勝し、衆参のねじれから布石がつくられた。地方選後半戦、夏の参院選に向け、政策論争の喚起に期待したい。

(聞き手・豊田雄二郎)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
ページトップに戻る

Copyright © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.