統一地方選2019

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地方議会 進まぬ女性活躍  

2019年4月5日

◆県内議会、3分の1で1人以下

 男女の候補者数ができる限り均等となることを目指す「政治分野の男女共同参画推進法」が昨年施行されてから初めての統一地方選。浜松市議選では、全候補者に対する女性の割合は21%、県議選では12%にとどまっており、推進法が掲げる「民主政治の発展」にはほど遠い現状だ。地方議会での女性活躍への壁は何か。背景を探った。

 「芸術文化の薫る街、幼老一体のコミュニティーをつくり、女性が輝く社会にしたい」。浜松市議選に出馬した新人の女性候補は街頭で、子育てや高齢者施策の充実を訴えた。帽子店を経営する市川悦子さんは「彼女の経験や柔らかい視点を生かして、街を何とかしてほしい」と人通りまばらな商店街を見つめた。

 今年二月時点の本紙の集計で、県内三十六議会の女性議員の割合が最も高かったのは吉田町で33%、浜松市は19%にとどまった。県議会は6%、三分の一にあたる十三議会で女性議員は一人以下だった。御前崎市や森町など八市町では0%だった。

 「女性は子育てや介護など家庭内で求められる役割が多く、家族や親戚から立候補の後押しが得られにくいことが多い」。元浜松市議の小沢明美さん(69)は、今回の市議選で候補を擁立しようと、二人の女性に声を掛けたが、家庭の事情などを理由にいずれも断られたという。

 自身は三十七歳で初当選し、近所の協力を得て、ひとり親で子育てをしながら七期二十八年務めた。選挙費用や宿泊を伴う視察、夜の会合への出席がネックになった。「初当選時、娘は中学生。ある程度家のことを任せられたが心配だった。これから結婚、出産、子育てを控える女性が活躍するには、議会は変わっていく必要がある」と話す。

 地方議員は特別職公務員にあたり、母体保護を目的に定められた「産前産後休業」を規定する法制度の対象外。全国の多くの議会では、産前六週と産後八週の期間を定めた制度化された産休はない。浜松市議会では、二〇一五年まで出産による女性議員の欠席は「事故」として届け出る必要があった。同年六月に規則を見直し、欠席理由に「出産」を追加したが、期間を定めた制度はない。出産や子育てと議員活動を両立させる環境は十分とは言えず、小沢さんは「出産後の議員の健康を守るためにも、産後だけでも期間を定めた産休制度が必要なのでは」と話す。

 駒沢大法学部の大山礼子教授(政治学)も「日本では女性議員があまりに少ないので、議会が真の住民代表機関になっていない」と現状を分析。「一定の割合を女性にするクオータ制(人数割り当て制)の導入、立候補しやすくするための供託金引き下げ、新人議員周知のための選挙運動期間延長など、制度の見直しが必要」と指摘する。

(久下聡美)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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