統一地方選2019

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静岡市長選ルポ(中) 田辺信宏さん

2019年4月4日

◆清水意識し組織固める

支援者らとハイタッチする田辺さん。後ろは妻の亮子さん=静岡市清水区の清水マリンターミナルで

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 田辺信宏さんも新人二人と同じく、清水を強く意識している。千五百人もの支援者を集め、一日夜に清水区で開いた総決起大会。「将来、これで良かったと思えるような清水を絶対につくる自信があるんです」と声を張り上げた。

 自民と連合静岡に加え、自治会連合会など推薦団体は二百を超える。自身と市議らの後援会もフル稼働させ、組織固めは盤石。数少ない陣営の気がかりは、清水にある現市政への根強い不満だ。

 市役所清水庁舎や桜ケ丘病院の想定津波浸水域への移転問題に加え、人口減少や地場産業の衰退などで街に元気がない。田辺さんの行政手腕を批判する清水の関係者は少なくない。

 市長選を控え、田辺さんは手を打った。JAしみずと一月に政策協定を締結。清水の経済界でつくる「羽衣会」に働き掛け、二月下旬に推薦を得た。四月の市人事では清水の中山間地振興に向けて農林水産部を強化し、二〇一九年度予算には企業誘致策など清水を意識した事業を盛り込むなど、現職の強みを生かした。

 田辺さんに批判的だったJAしみずの柴田篤郎組合長は「協定を結んで以降、スピード感を持って、さまざまな施策を実行してくれている。政治生命をかけてくれている」と手のひらを返したように持ち上げる。

 告示後も精力的だ。週末にはのぼりを持った運動員を従えて商店街を練り歩き、演説会は一日一〜三カ所を回る。財政健全化を進めた二期の実績や、公共投資による経済活性化などの公約を訴える。

 受けて立つ身の現職。天野進吾さん、林克(かつし)さんの新人二人が庁舎・病院の移転問題と並び、集中攻撃の材料とするのが川勝平太知事との「不仲」だ。

 田辺さんへの攻撃を緩めぬ知事は告示直前、明らかに田辺さんを念頭に「権力におもねるタイプ」とこき下ろした。そのことを会見で問われた田辺さんは、余裕の笑みを浮かべて「市民が判断してくれることです」と答えた。

 その内心はともかく、陣営は天野さんを「仮想川勝」に見立てて、二〇二一年の次期知事選も見据えた選挙戦を意識している。

 幹部は息巻く。「葵、駿河区で勝つのは当たり前。清水区で(新人二人の合計票より)1%でも多く票を取らないと、次の四年に支障をきたす。静岡では勝てないと知事に印象づけないとだめだ」

(広田和也)

 ◇立候補者

天野 進吾 77 無新

田辺 信宏 57 無現 当選<2>=自

林  克  63 無新 =共

(上から届け出順)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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