浜松市長選 本紙世論調査
2019年4月3日
七日投開票の浜松市長選と行政区再編の賛否を問う住民投票で、中日新聞東海本社は有権者を対象に電話世論調査を実施し、情勢を探った。本紙の取材を加味した結果、市長選は現職の鈴木康友氏(61)が優勢で、新人の山本遼太郎氏(32)が追う。新人の野沢正司氏(69)は伸び悩んでいる。住民投票は「今の七区でよい」が最多だった。市長選では三割、住民投票では二割が投票先をまだ決めておらず、情勢は変わる可能性がある。
四期目を目指す鈴木氏は市内全域で先行。自民支持層の五割強を固め、立憲民主や公明、支持政党のない無党派層にも浸透している。年代別でも全世代で安定して支持を広げている。
自民党県連推薦の山本氏は、自民支持層の三割を固めた。無党派層への浸透は二割強。若さをアピールするが、二十代以下や四十代の支持が伸びていない。地域別では天竜区で四割近い支持を集め、鈴木氏と拮抗(きっこう)する。
共産党推薦の野沢氏は共産支持層の六割を固めたが、無党派層や他党支持層への支持に広がりが見られない。
調査では住民投票について、浜北、天竜区を残し、その他を合区する三区案に「賛成」「反対だが、区再編には賛成」「反対。今の七区でよい」を尋ねた。その結果、投票先を「決めている」「だいたい決めている」などの間で、七区維持が五割近くを占めた。「三区案賛成」と「三区案に反対だが、区再編には賛成」は、いずれも二割強で拮抗している。
地域別では、七区維持の割合が浜北区で最も高く、北、東、天竜区と続く。一方、三区案賛成は、各区で一割以下〜二割台にとどまる。これに「三区案に反対だが、区再編には賛成」と答えた人を合わせた「区再編派」は、中、西、南区で七区維持を上回った。
市長選で誰に投票するかを「決めている」「だいたい決めている」と答えた人は計69%だった。
住民投票に「行く」と答えた人のうち、投票内容を「決めている」「だいたい決めている」は計77%、「まだ決めていない」は21%だった。
本文、グラフともに小数点以下を四捨五入した。
▽調査の方法 3月30、31の両日、コンピューターで無作為に作成した電話番号に調査員が電話をかける方法で、浜松市内の有権者を対象に実施。市内7区別の人口構成に応じて各区ごとにあらかじめ調査サンプル数を割り当てた。回答は計1000人から得た。回答者の年齢構成はおおむね、市全体の実際の年齢構成に近い。
◆「福祉・医療」関心高く
七日の投開票に向けた浜松市長選の情勢を探るため、中日新聞東海本社が行った世論調査。現職の鈴木康友さん(61)、ともに新人の野沢正司さん(69)、山本遼太郎さん(32)の三つどもえによる戦いが続く中、政策では「福祉・医療」への関心の高さが目立った。鈴木さんの市政運営については六割余りが評価する一方で、評価しない層は主に山本さんに流れる状況が浮かび上がった。
◆関心のある政策
関心のある政策を複数回答(三つまで可)で尋ねたところ、全回答に占める割合は「福祉・医療」が22%と最も多く、「子育て・教育」が13%、「水道事業の民間運営委託」が11%と続いた。市長選の大きな争点の一つ「行政区再編」は10%にとどまった。
「福祉・医療」と答えた人を年代別にみると、七十歳以上が25%となる一方、十代は18%にとどまった。「子育て・教育」は二十代の22%が最も多く、「水道事業の民間運営委託」については六十代以上の人の関心が特に高い。
上水道事業のコンセッション(公設民営)方式の導入を巡り、鈴木さんは「市民の理解が進んでいない」と検討の当面延期を表明。野沢さんと山本さんは反対を主張している。
「中心市街地活性化」と区再編に関心を持つ層の投票先は鈴木さんが最も多く、山本さんが続く。「福祉・医療」では、鈴木さんが山本さんを大きく引き離す。野沢さんは水道事業や「環境・ごみ対策」に関心のある層から一定の支持を得ている。地区別でみると、中区は「中心市街地活性化」への関心が14%と他の区より高く、天竜区は「福祉・医療」(28%)や「産業振興」(11%)への関心の高さが目立った。区再編については浜北、北、東区で高い傾向だった。
◆鈴木市政「評価する」67%
鈴木さんの現在の市政運営への評価については「ある程度評価する」が61%と最も多く、「大いに評価する」を合わせると67%に上り、有権者から一定の支持を受けていることが分かった。「あまり評価しない」と「まったく評価しない」は合わせて27%だった。
「ある程度評価する」とした人が関心のある政策に挙げたのは福祉・医療(23%)をはじめ、子育て・教育(14%)、防災(10%)、中心市街地活性化(10%)など。鈴木さんが進める政策が一定の支持を受けていることがうかがえる。
「あまり評価しない」「まったく評価しない」と答えた人の投票先は、山本さんと野沢さんに分散。多くは山本さんで、野沢さんを選ぶ人はわずかだった。
◆20〜30代半数「市長選関心」
市長選への関心については「ある程度ある」の58%が最も多く、「大いにある」は18%だった。「あまりない」は21%、「全くない」は3%にとどまり、八割近い人が関心を持っていることが分かった。
前回選の投票率は過去最低の53・56%。同時に行われる住民投票は50%を下回ると成立しないだけに、有権者の関心の高さが鍵となる。
年代別では、特に五十代以上の関心が高かった。二十〜三十代も半数以上が「大いにある」「ある程度ある」と回答。地域別の差はあまりなく、性別では女性の方が男性より関心が高かった。職業別では民間企業、主婦、派遣・契約社員・アルバイトで関心が高い結果となった。