静岡市長選 3陣営に聞く
2019年4月2日
静岡市長選は七日の投開票に向け、折り返しを過ぎた。ここまでの手応え、戦略、秘策を三陣営の参謀役に聞いた。
◆天野陣営 草の根活動、声援増える
小野森男・選対事務長代理 |
−ここまでの戦いは
政党や企業などの推薦はまったくなく、街頭演説やミニ集会で個人に訴え掛ける草の根。厳しさもあるが、組織と一人一人の有権者は違う。少しずつ声援も増えてきている。
−県との関係は本当に改善されるのか
間違いなく変わる。出馬の第一の目的は、県と協調できない現市政に終止符を打つことだ。政治家生活の最後の四年間をそのためにささげる。除名されたとはいえ、彼は自民一筋の政治家。保守としての政治信条は固く、知事の言いなりになるわけではない。
−現職と同様、公約にはハコモノ政策が並ぶ
未来への投資になるか、ならないかの違いだ。サッカースタジアムは今後の清水の振興のために不可欠。こども館も子育て環境の充実を見据えたものだ。ふるさと納税に目を向け、県や国とも連携し、必要な財源をつくり出す。
−高年齢への懸念は
体調を考慮し、遊説で街頭に立つ回数も控えめにしているが、長く話せばいいわけでもない。当選後は後継者の育成に目を向ける。
−旧市長時代に業者との癒着が疑われた
潔白だ。彼ほど利権に絡まず、理想を求める男はいない。今回も県議の座を捨て、郷土の未来を思い、政治生命を懸けている。
◆田辺陣営 2期実績訴え、感触良し
石上顕太郎・選対幹事長 |
−どんな選挙戦か
一日十二〜十五カ所を巡って、街頭演説をしている。個人演説会も連日一〜三カ所で開き、最低でも一日千五百人の有権者が(田辺さんの)二期八年の実績や今後実施する政策内容に耳を傾けてくれている。前回選よりも感触はいい。
−政党や自治会などの推薦は二百を超える
うれしいことだが、推薦状をもらっただけではダメ。推薦をもらった団体のトップだけではなく、所属する人々に支持を浸透させないといけない。
−争点は
市政の安定的な継続だ。新しいまちづくりが始まろうとしている中で、有権者がどう判断するのかが問われている。
−庁舎や病院の移転問題に加え、「二期の実績が見えない」との批判も聞こえてくる
前任者と比べられているのが影響している。前任者は「合併」という大きなことを成し遂げた。着々と行政を進めることも大事だし財政健全化にも力を注いだ。日本平夢テラスの整備や豊臣秀吉の遺構発見などの実績も伝えていきたい。
−終盤戦に向け
選挙は運動量が重要。熱心にやればやるだけ日の目を見る。田辺さんの後援会に加え、応援する市議三十人の後援会もフルに活用して支援者を回る。
◆林陣営 人柄と政策を武器、猛追
内田隆典・事務局長 |
−前回選と比べて手応えは
前回より大衆的な広がりがある。静岡市出身、静岡高卒の候補なので、有権者が注目してくれている。林さんこそが市の(一般、特別、企業会計を合わせた)六千億円の予算を市民目線で活用できる人だと自信を持って薦められる。
−争点はどうみる
若者の雇用対策やハコモノ行政からの脱却。現市政は百億円近い施設をいくつも建設しようとしている。将来的に市民サービスが削られる可能性がある。安定的な財政運営ができるのは林さんだと訴えたい。
−政治経験の少なさをどう補う
選挙は初めてだが、市職員として市政を二十五年間見詰め、問題点はよく分かっている。他の二人より市民目線の政策ができるし、職員にとってのびのびと働きやすい職場にできる。
−ほかの二候補に比べ知名度は低い
名前という点では、ちらしやはがきの配布で広まった。報道などを通じて徐々に林さんの優しい人柄が好感を持たれるようになっている。何より政策が良い。
−終盤戦に向けて
組織的には弱いけど、労組や推薦する政党、団体、市職員OBに加えて林さんの個人的なつながりで応援してくれる人も多い。人柄と政策を武器に猛追する。
(広田和也、西田直晃、瀬田貴嗣)
【静岡市長選候補者】
天野 進吾 77 無新
田辺 信宏 57 無現(2)=自
林 克 63 無新=共
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