トップへ注文 何望む 静岡市長選
2019年4月1日
◆津波対策、天守閣再建、観光振興
花見客でにぎわう駿府城公園。市外からの客が多いとみてか、支援を呼び掛ける市長選候補者の姿は終日なかった=31日 |
告示後初の日曜日となった静岡市長選(七日投開票)。街宣や演説に走り回る三候補ウオッチから離れ、市内の観光名所や商店街、施設、期日前投票会場で思い思いの休日を過ごす有権者に「次の市長に何を望むか」を聞いた。
初めての選挙で清水区役所で期日前投票を済ませた大学生、西沢青威(あおい)さん(18)は「どういう基準で投票したらいいか、いまひとつ、分からなかった。もっと市の課題を分かりやすく説明してほしい。(津波時の)避難の方法も」と話した。
清水では、想定津波浸水域に庁舎や病院を移転する是非が主争点。西沢さんは「あえて津波浸水区域に移転するのはおかしい。避難場所や避難タワーの整備に力を入れて」と続けた。海岸線から約一キロの清水区殿沢に住む鉄筋工、安藤義春さん(51)は「(東日本大震災後)近くの人はどんどん引っ越した。新市長は防災対策に取り組んでほしい」と語った。
桜が五分咲きの駿府城公園(葵区)。現職の田辺信宏さんは「歴史文化施設の整備」を公約に掲げる。散歩中の会社員、中村仁俊さん(59)は「観光客を呼び込むだけの施設ならば必要ない。市民にしっかりと趣旨を説明すべきだ」と疑問を投げ掛ける。新人の天野進吾さん、林克さんは整備に反対の立場だ。駿府城跡の発掘現場を見に来た無職、勝見善夫さん(84)は、根強い待望論がある天守閣の再建に「必ずや街のシンボルになるはずだ」と期待した。
三候補はいずれも、訪日外国人(インバウンド)の呼び込みに積極的だが、中心街の商店主たちはどう考えるか。「舶来雑貨の店ウイウイ」店主、倉本英世さん(70)は「観光客向けのこれといった名勝史跡が市内にない。外国人観光客は見掛けるが、客足につながっていない」とぼやいた。
県と市の関係改善に言及したのは、喫茶店「ソワレ」の店主、末次武さん(81)。「外国人観光客を呼び込むためには、県や他市との連携が重要。一致協力するべきだ」と語った。
市は「待機児童ゼロ」を実現しているが、いっそうの子育て支援を望む声は多い。幼い息子二人と静岡市中央子育て支援センター(葵区)近くにいた主婦、斎藤幸子さん(36)は「子どもの遊び場が街中にあれば。『浜松こども館』のような大規模な施設を造ってほしい」と注文した。
(広田和也、西田直晃、瀬田貴嗣)
【静岡市長選候補者】
天野 進吾 77 無新
田辺 信宏 57 無現(2)=自
林 克 63 無新=共
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