清水区勝利が鍵 静岡市長選
2019年3月31日
◆過去4回、当選直結
四月七日の投開票に向け三候補による舌戦が続く静岡市長選。データをひもとけば、旧清水市と旧静岡市が合併し、新市が誕生した二〇〇三年以降、四度の市長選はすべて旧清水(清水区)を制した候補が市長の座を射止めている。
告示後、初の週末を迎えた三十日、清水を重点的に回る候補の姿があった。
天野進吾さん(77)=無新=は終日、清水を街宣。マイクを握り、選挙戦の争点になっている「想定津波浸水域への病院や庁舎移転」の凍結を訴えた。「清水港の客船と(三保の)折戸湾の景観を生かした街づくり」も強調した。
有権者五十九万人強を三区別にみると葵・二十一万四千人、駿河・十七万五千人、清水・二十万二千人。過去四回(〇三、〇七、一一、一五年)の市長選はいずれも清水を制した候補が当選したが、いまだ市民の語り草となっているのが〇七年選挙。現職は駿河、葵区で新人の後塵(こうじん)を拝したが、清水で上回り、千三百三票差の大接戦を制した。
今回の三候補は全員葵区を地盤とし、大票田の清水は草刈り場になっている。対等合併ながら、清水には静岡にのみ込まれた印象が根強く、現市政に批判的な有権者が多い。
林克さん(63)=無新=は二日に一日は清水でマイクを握る。二十九日に商店街を回り、病院や庁舎の移転反対を訴えた。「清水では田辺批判が受け入れられている。現市政にレッドカードを突き付けられるよう訴えたい」と話した。
田辺信宏さん(57)=無現=も二日に一日は必ず清水を街宣する。三十日は公務があり、陣営が清水で選挙カーを走らせた。移転問題で二人から「口撃」を受け続け、田辺さんは「批判があるのは分かっている。移転新築が周辺の防災につながることを愚直に訴えていきたい」と述べる。
静岡大の日詰一幸教授は市中心部の葵・駿河区は無党派層が三〜四割と多く、票数が計算できないと分析。三候補が清水を重視する理由を「経済界を中心に団結する傾向が強い。支持を得られれば、まとまった得票が計算できるとみているのでは」と推測する。
今回も清水を制すれば、市長選を制すのか。〇七年選で葵、駿河で勝利しながら、落選した海野徹さん(69)=元民主党参院議員=は「(〇三年以降の)市長候補はいずれも旧静岡が地盤。私も二重、三重に清水を回ったが、有権者に『俺たちの代表』と感じてもらえなかった」と清水での選挙戦の難しさを語る。
(広田和也、西田直晃、瀬田貴嗣)