統一地方選2019

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浜松市長選候補者 座談会詳報(下)

2019年3月29日

 浜松市長選の立候補者座談会の最終回のテーマは、市の将来だ。間もなく「平成」が終わる。次代を担う大学生の質問も交えながら鈴木康友さん(61)=無現=、野沢正司さん(69)=無新=、山本遼太郎さん(32)=無新=に市の魅力やあるべき姿を聞いた。

(写真は右から当日の着席順、回答は指名順、文中敬称略)

互いに手を合わせる(右から)鈴木康友さん、山本遼太郎さん、野沢正司さん=浜松市中区で

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 −五月に改元を控える。人口減少の時代、浜松の将来をどう考えるか。

 山本 浜松市は人口が減った時に困らないように行財政改革をしっかりやってきた。それで鈴木市政は実績を出している。素直に認めたい。

 一方、この十二年間で街の活気や人口、出生率はどうなったか。残念ながら目標には達していない。特に出生率はいち早く手を打たなければいけない問題だ。それに加え、社会減、転出超過がずっと続いている。これを食い止めないといけない。削減一辺倒や行財政改革で、人は戻らない。そういった部分に直接的に働き掛ける投資をすることが必要だ。

 野沢 平成の時代、浜松の輸出型企業は次々に海外シフト(移転)して、産業空洞化が完了した。逆輸入の時代になったことで、人口が減った。今後は為替変動の影響を受けにくい内需型の産業を軸に、外需にも強い産業構造をつくっていく必要がある。

 将来のアジアの高齢化社会に向けて、福祉産業を輸出することを提案したい。中小企業基本条例などを定めて、市の仕事の一定量を地元の中小企業に出す。水道や保育、医療、福祉は需要が必ずある。ソフト産業としてアジアに輸出できると思う。

 鈴木 産業力を強化して豊かな雇用を生み出し、持続可能な都市にする。イノベーションでは次世代自動車センターや(光・電子技術に関連する産業集積の拠点となる)フォトンバレーセンターをつくった。企業誘致も順調に進んでいる。第一次産業にも力を入れ、農業を稼げる産業に転換していきたい。林業は天竜を宝の山に変えるため国際認証のFSCを使い、ブランド価値を上げた。昨年は幸福度ランキング一位、健康寿命も三期連続男女とも一位で、健康で豊かに暮らせるプラットホームがあるので、それを磨き上げていく。

◆大学生が聞いてみた

 座談会には、静岡文化芸術大文化政策学部の二年中野七海(ななみ)さん(20)と一年西田あいらさん(19)も出席し、三人に質問をぶつけた。

質問をする西田あいらさん(左)と中野七海さん=浜松市中区で

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 −これまでの選挙報道を見ると、三人とも「浜松の魅力をつくる」などと話しているが、浜松の魅力とは何か。(中野)

 野沢 浜松には街だけではなく山や海、湖があり、土地ごとに暮らし方や仕事がある。そこに魅力を感じる。私もサラリーマンだったが、定年後、中区から北区に引っ越して就農した。何かを始めようとする人には、いろんな地域があるからやりやすい。

 鈴木 魅力は見つけ出すもの、磨き上げるもの、作り出すもの。浜松にはいろんな魅力がある。例えば、移住した人に理由を聞いて思い付いたのがビーチ・マリンスポーツの聖地。浜名湖と広大な砂浜であらゆるビーチ・マリンスポーツができる。

 山本 他都市との違いを感じられる時こそ、魅力的だと感じる。市役所を移転させ、併せて何を造るか。わくわくする。そこに興味を持てば、魅力が醸成される。浜松には山や海、中心市街地もある。地域間交流を広げて、そうした魅力を気付かせることが大事だ。

 −「山が魅力的」と言うが、衰退する林業をどう成長させるのか。(西田)

 山本 鈴木市政ではトップセールスで他都市に売り込んだり、都市内の需要を高めたりしてきた。浜松の持つブランドを世界中に広めることは、私もやりたい。FSC天竜材を認知していない市民は多い。もっと認識して、広く使ってもらい需要につなげたい。

 −「経済界とのつながりの強い市政を変える」というが、どう変えるのか。(中野)

 野沢 経済界の発展は市政にとって重要。だが、多額の内部留保がある大企業への補助金をやめることを典型例にしていきたい。

 −「農業がもうかる産業だ」と言うが、具体的に発展させる策は。(西田)

 鈴木 生産性を上げていくのが一番だ。規模を大きくして経営感覚を持ち、先進技術を活用すれば、生産性が増して稼げる。農業は決してつらい、もうからない産業ではない。経営感覚さえ持てば難しいビジネスモデルでもない。新規参入でもやりやすい。

◆座談会で人柄分かる

 中野さんの感想 「そこまで聞いていいの」という突っ込んだ質問があって面白かった。政治家は小難しいイメージがあったが、座談会を通して人柄が分かった。もっとこういう機会を設け、政治家を「会えるアイドル」みたいにすれば政治に興味が湧くと思う。

◆地域の実情 考えて

 西田さんの感想 天竜区に住んでいることもあり、大学のゼミでは中山間地域について学んでいた。今回、農林業による活性化策が示されたが、現実とは少し違う感じがした。地域の実情や住んでいる人のことを考えた政策を期待したい。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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