静岡市長選 候補者アンケート(下)
2019年3月29日
<11>政令指定都市で初めて人口七十万人を割った。若者の流出をどう食い止める
田辺信宏さん(57)=無現=は、市による新幹線通学の定期代補助や移住促進施策で二〇一七年、四十七年ぶりに社会増に転じたと強調。「子育て支援策を充実し、出生率の向上に結び付けたい」とした。
天野進吾さん(77)=無新=は「若者がバイタリティーを発散できる街にしていくかが重要」。市街地でのイベントや教育環境の整備など、県との連携を鍵に挙げた。林克(かつし)さん(63)=無新=は雇用環境の少なさを指摘し、「政令市初の総合的労働行政でまともな雇用を確立し、賃金の底上げ、非正規の正規化、労働相談の実施をする」と回答した。
<12>リニア中央新幹線工事の水対策。県とJR東海の協議をどうみるか
林さんは、県や他市町が猛反発した市とJRが結んだ県道トンネル工事に関する基本合意(一八年)を問題視。南アルプスの自然を守るため「合意を棚上げして、県と共同歩調を取るべきだ」と主張した。
天野さんは「そもそも必要なのか」とリニア自体に否定的で、「狭い日本、そんなに急いでどこに行くという気持ち」。田辺さんは「基本合意書において誠実な対応を約束してもらっている。(県とJRの協議は)注視したい」と答えた。
<13>県との連携、知事との関係改善
川勝平太知事と田辺さんは不仲で知られ、知事は公然と批判する。天野さんは二人の関係性に「パーソナリティーの違いに尽きる」と指摘。「私が当選すれば、県と市の関係は劇的に変わる」と自信を見せた。
林さんは「両首長の個人的確執による現状は不幸な事態」と回答。知事が指摘する「県と市の二重行政」には「役割分担を確認し、性格を変えた施策や施設をつくる」とした。
田辺さんは「そう受け止められているのは残念。トップ同士が対話できる環境整備に努める。現場レベルでの連携は順調」と答えた。
<14>理想の政治家は
天野さんは、戦時中に東条英機内閣と対立した中野正剛衆院議員を挙げた。「言論統制や翼賛選挙に反対した反骨の人。政治家を目指す動機でもある」
田辺さんは大平正芳元首相。「常に世界を見渡す視点を失わなかった。燃えるような情熱と飽くなき努力は、今日のリーダーとしてあるべきもの」と評した。
林さんは、二十八年間にわたり革新府政を担った蜷川虎三・元京都府知事を選んだ。「反自民を貫いた政治姿勢に憧れた」と回答した。
<15>市が目指す姿を漢字一文字で(いずれも自筆)
(広田和也、西田直晃、瀬田貴嗣が担当しました)