統一地方選2019

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浜松市長選 中山間地の声届くか

2019年3月28日

◆浜松市天竜区 過疎高齢化で暮らし不安

人通りが少ない平日の商店街=浜松市天竜区水窪町で

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 浜松市長選(四月七日投開票)では、全国で二番目に広い市域のうち三分の二を占める中山間地域の対策も問われる。二〇〇五年に浜松市と合併した旧町村は過疎高齢化による衰退が止まらず、住民から暮らしを不安視する声が上がる。

 広い浜松市の最北にあり、市中心部から車で二時間の天竜区水窪町。商店街を時折、お年寄りが行き交う。シャッターが下りた店も目立つ。

 「人通りが減ったが、ここまでになるとは」。商店街で金物店を営む八幡しげよさん(70)は言う。八十年続く店の三代目だった夫の死後も踏みとどまる。

 町の人口は林業が盛んだった一九五〇年代半ばの一万二千人から二千人まで激減し、高齢化率は59%(市全体は27%)に達する。商店街のうち南の地区の店舗でつくる本町発展会は、相次ぐ閉店で二年前に解散した。八幡さんは「市にとって天竜区はお荷物かも」とつぶやく。

 写真館を営む中政俊さん(62)、真理さん(59)夫婦は住民と行政の距離が広がったと懸念する。旧水窪町が浜松市と合併後、地域に詳しい職員が減った。人手不足などで住民自ら生活道の土砂崩れや倒木を処理することも。

 行政手続きにも不便を感じる。いつでも公共料金を払えるコンビニが町にない。区協議会副会長の守屋千づるさん(64)=水窪町=は「問題があっても、どこにどう伝えていいか。選挙も遠く感じる」と住民の思いを代弁した。

 中山間地域の現状に対し、市長選の三候補は対策を訴える。現職の鈴木康友さん(61)は、区再編で浮いた予算を土砂災害対策や道路整備に充てると主張。新人の野沢正司さん(69)は、木質バイオマスなど自然を生かすエネルギー産業創出を掲げる。新人の山本遼太郎さん(32)は、市街地からのアクセスを確保する計画的な道路整備を目指す。

 水窪では、四月から高校に進む子どものために町を離れざるを得ない世帯もいる。天竜区二俣町の天竜高もバスで一時間半近くかかり、便数も少ない。同区佐久間町の浜松湖北高佐久間分校の存続も心配されている。一九年度の一年生は十四人。原田橋の崩落で通学が不便になり、定員四十人を大きく割った。

 水窪で三人の小中学生を育てるパート高木歩美さん(35)は「道路整備やバスの充実で、若い人が外に出なくても済むようにしてほしい」と話す。

(島将之)

【浜松市長選候補者】

鈴木 康友 61歳 無現 当選3回

野沢 正司 69歳 無新=共

山本遼太郎 32歳 無新

(上から届け出順)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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