浜松中心街のにぎわい創出 3候補の方策
2019年3月27日
市長選では中心市街地活性化の方策が問われる。松菱跡地(手前右)は更地となっている=浜松市中区鍛冶町で |
浜松市長選(四月七日投開票)で、JR浜松駅周辺の中心市街地活性化が主要課題の一つに挙がっている。都市の主要駅前は「街の顔」だが、浜松駅周辺のにぎわいは政令市として「物足りない」との指摘もある。出馬した三候補はそれぞれの方策を掲げる。
駅北口は、北側でマンションやホテルの建設が進む。一方で少し離れると人通りが減り、空き店舗がぽつぽつとある。
市が二〇一四年に行った市民アンケートでは、駅周辺の魅力とにぎわいについて「不満」「やや不満」が54%を占めた。その後、複数の複合商業施設では新装が進んでいるが、人々の反応はさまざまだ。市長選告示の二十四日、友人と食事に訪れた高校三年下島陽(ひなた)さん(18)=掛川市=は「若者向けの洋服店が少ない。ショッピングなら静岡駅に行くかも」と話した。
駅周辺で目立つのが、松菱跡地(中区鍛冶町)。松菱は浜松を代表する老舗百貨店だったが、〇一年に経営破綻。大手百貨店の跡地出店も浮上したが、なくなった。跡地は市内の不動産会社が所有するが、市に事業計画案は示されていない。
この跡地に目を付けたのが、市長選に立った新人の元自民党市議山本遼太郎さん(32)。「街の活性化が争点」と高層ビル建設や市役所移転を打ち出し、選挙事務所を跡地に置いた。市中心部と郊外を結ぶLRT(次世代型路面電車)の整備も掲げる。
現職の鈴木康友さん(61)は、高層ビルではなく「地道に一つ一つ個店を活性化する」と訴える。遠州鉄道高架下の公共空間「新川モール」を憩いの場にする計画も示す。
市の調査では、浜松駅北口など駅周辺主要八地点の休日(十時間)の歩行者通行量は、松菱が営業した〇一年に十四万二千人だったが、〇五年から十万人を下回った。近年は増加傾向だが、一八年は十万二千人にとどまった。
新人で共産党推薦の農業野沢正司さん(69)は、駅周辺に人が集まらない理由に駐車料金の高さを挙げる。「駐車料金を安くし、駐輪場を充実させ、気軽に行けるようにする」と提案する。
告示日には、こぞって浜松駅前を街頭演説の場所に選んだ三候補。効果のあるにぎわい創出策をどう打ち出すかが問われている。
(浜松市長選取材班)
【浜松市長選候補者】
鈴木 康友 61歳 無現 当選3
野沢 正司 69歳 無新=共
山本遼太郎 32歳 無新
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