浜松市長選 候補者の横顔
2019年3月26日
四月七日の投開票に向け、現職に新人二人が挑む構図で舌戦を繰り広げる浜松の市長選候補者たち。どのような歩みをたどり、市政のリーダーとして何を志すのか。それぞれの横顔を紹介する。
(上から届け出順)
◆アイデア出し形に
鈴木 康友(すずき・やすとも)さん 61歳 無現
小学校の卒業文集に「将来は政治家か外交官になる」と記した。「偉そうにね。米ソ冷戦時代の日ソ関係を改善するんだって」。子ども心に興味を持った政治家の道に、松下政経塾を経て進んだ。
旧民主党時代に衆院議員を二期務めたが、「野党だったこともあり、国会で質問してもすぐ結果につながらない」とやるせなさを感じた。故郷の浜松で市長を三期務めた今は「取り組めばその分、成果が表れる。国政よりも首長の方が自分は向いている」。
会社経営をした経験から、自治体の首長を「会社の経営者に似ている」と例える。「アイデアを出し、形にしていく。この面でも自分の性分に首長は合っている」
十年ほど前から、スクワット、腕立て、腹筋と毎朝の筋トレを欠かさない。体重がピーク時から十キロ減り、六十三キロに落ち着いた。「毎年健康診断で褒められる」と頬を緩ませる。
歴史書好きで「塩野七生ファン」。韓国の歴史テレビドラマを妻と見るのが日々の息抜き。浜松市中区富塚町。
◆農業研究所を設立
野沢 正司(のざわ・まさじ)さん 69歳 無新
四年半前に妻に先立たれ、一人で農業に励む。座右の銘は「歴史を科学する」。定年後に農家になり、自ら設立した自然栽培の研究所で、気候変動に耐えられる農作物の育て方を探っている。
中区三組町出身。家は農家ではなかったが農業に引かれ、浜松西高から静岡大農学部に進み、農業選別機メーカーに就職した。
自衛隊浜松基地や浜岡原発などに反対する住民運動に携わってきた。中でも水道事業に思い入れが強い。選挙戦では、市が検討したコンセッション(公設民営)方式に異を唱えるが、「十年以上前に問題意識を持った」と語る。
中途で入った総合電機メーカー代理店では、水処理の営業を担った。コンセッションは「水道料金も工事も企業に握られ、効率重視で住民が置き去りにされる」と危機感を訴える。
息抜きは畑に立つことだ。ニワトリを飼い、菜っ葉やニンジン、ゴボウなどを育てる。「四季折々の自然を感じられるのは浜松ならでは」。浜松市北区東三方町。
◆動じないメンタル
山本 遼太郎(やまもと・りょうたろう)さん 32歳 無新
浜松商業高と早大では応援団に所属し、「厳しい練習で何事にも動じないメンタルを得た」と振り返る。「結婚式に呼ばれれば間違いなく余興。街頭演説でも『フレー、フレー』とエールを送ると、みんな喜んでくれる」。事あるごとに応援パフォーマンスを披露する。趣味を聞かれれば「応援」と真っ先に答える。
政治家を目指したきっかけは東日本大震災。「現場で起きていることを自分の目で確かめ、政治のゆがみを直したい」と志した。
若いうちに活動資金を稼ごうと、高給と名高い測定機器メーカー「キーエンス」に入社。愛知県内で営業職を務め、半期の売り上げで全国トップに立った。二〇一五年の市議選で初当選。自民会派に推される形で、市長選への出馬を決意した。
「今まで選挙でやってこなかったようなことを繰り広げ、投票に行かなかった層を巻き込んでいきたい」。中区鍛冶町の松菱跡地に後援会事務所を設け、夜にイルミネーションを輝かせるなど注目を集める工夫を凝らす。浜松市中区南浅田。