浜松、静岡両市の市長選の告示を翌日に控えた二十三日、立候補予定者の各陣営では関係者が対応に追われた。浜松市では市内の各事務所で打ち合わせをしたり、はがきや選挙カーの準備をしたりした。静岡市ではそれぞれ支援者回りに余念がなかった。

　現職の鈴木康友さん（６１）の事務所では、後援会役員らが選挙期間中のスケジュール表を手に、車の手配や人員配置を入念に打ち合わせた。後援会の吉川彰会長代行（８０）は「選挙の戦い方は昔とは随分変わったが、準備は順調だ」と自信を見せた。

　元自民党市議山本遼太郎さん（３２）の事務所では、スタッフが「住民投票三区案には反対！」と記した公選はがき約三万五千枚に宛名シールを貼った。選対本部の中沢公彦県議（５０）は「準備はバッチリ。後はわが党の底力を見せるだけ」と意気込んだ。

　共産党が推薦する農業野沢正司さん（６９）の事務所は、選挙カーの準備を整えた。板にネジや金具を付け、街宣用の原稿を置く台を用意。材料費二千円のお手製だ。支援団体代表を務める嶋田博さん（７０）は「これでしっかり支援できる」とうなずいた。

　現職の田辺信宏さん（５７）＝自民推薦＝は午前中、自宅で打ち合わせ後、国会議員の後援会会合に出席。夕方は清水区の清水事務所で陣営幹部らと選挙戦の方針を確認し、自治会連合会や団体の会合三カ所に顔を出すなど、支援者回りを欠かさなかった。

　県議の天野進吾さん（７７）は午前、地盤の静岡市葵区で会合に出席し、市街地の活性化策を訴えた。午後は事務所で陣営幹部と打ち合わせ。半世紀の政治キャリアを持つだけに「選挙戦は何度も経験したが、今回も一期一会のつもりで臨む」と話した。

　元県労働組合評議会議長の林克（かつし）さん（６３）＝共産推薦＝は地元の葵区中心部の商店街を歩き、チラシを配りながら、労働政策やハコモノ行政からの脱却などの政策を訴えた。「明日から選挙戦です。ご迷惑をおかけします」などと、商店主らにあいさつをして回った。