浜松市長選 学生有権者の注目点は
2019年3月23日
◆人口減対策「◎」 区再編は「?」
人口減少対策について意見を交わす学生たち=浜松市中区の市民協働センターで |
十八歳選挙権が認められて初めて迎える浜松市長選は二十四日に告示される。若者の掘り起こしは立候補者にとって鍵となる。行政区再編や街の活性化、人口減少社会の到来−。山積する市政課題は学生たちにどう映り、何を期待するのか。
「婚活できるように、若い世代の残業時間と残業代を、別の人が負担する仕組みにしよう」。二十日に浜松市内であった学生らによる模擬選挙。テーマは、人口減少対策だ。主催する常葉大、静岡文化芸術大などの一〜三年生計十七人が三班に分かれて熱く意見を交わし、練った政策を発表して投票を求めた。
人口減少という避けられない難題は、十九日の市長選立候補者による公開討論会でも、議論になった。常葉大二年の刈谷香介(きょうすけ)さん(20)=中区=は「浜松の場合、田舎と街を多くの人が行き来できる環境づくりが必要だ」と道路網や働く場の整備などを説く。
学生たちにとって、身近な問題はこれだけにとどまらない。いずれも同大一年の渥美和土さん(19)=北区=と佐藤拓哉さん(19)=中区=は「起業を支援する政策を示し、卒業後に地元で働きやすいようにしてほしい」と口をそろえる。
一方、今回の市長選で争点となっている行政区再編については、「初耳」「メリットやデメリットが分からない」と関心はいまひとつのようだった。
市選管によると二〇一五年の前回市長選で、市内二百九カ所の投票所のうち、市役所に限って年齢別の投票率を調べたところ、二十〜二十四歳の投票率は22・86%と低調だった。担当者は「市全体を考える上で指標になる」と話している。
そんな世代の関心を呼び起こすのは、具体的なビジョンだ。渥美さんは「何年後に浜松はこうなる、というものを示してほしい」と要望。刈谷さんは「今後さらに外国人が増える。年配の方は治安を心配するだろうが、外国人の不安もなくし、みんなが住みやすくできるまちの姿を掲げてくれないと」と訴える。
「自分の一票でも社会は変わる」などと話す刈谷さん、渥美さん、佐藤さんはインターネットで公約を調べるなどし、必ず投票に行くつもりだ。
(古根村進然)