静岡市長選24日告示 各陣営は本番態勢
2019年3月21日
支持者を前に選挙戦への思いを語る候補者=静岡市清水区で |
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静岡市長選は二十四日に告示が迫る。出馬を予定するのは五十音順に、いずれも無所属で、新人の天野進吾県議(77)、現職の田辺信宏市長(57)=自民推薦、新人の林克(かつし)・元県労働組合評議会議長(63)=共産推薦。選挙戦は事実上、始まっている。
◆天野さん 清水区を優先
二月下旬に出馬を表明し、やや出遅れ感がある天野さんだが、「有権者の反応はいい。『静岡にかつてのにぎわいを取り戻す』と訴えたい」と話す。
陣営は、現市政に不満を抱える有権者が多いとされる清水区を戦いの「キーポイント」に位置付ける。旧清水市と合併前の旧静岡市長を二期目途中まで務めた天野さんは、県議としての選挙区も葵区で、清水に地盤はない。
企業や自治会回りは、同い年で、旧知の仲である最後の清水市長、宮城島弘正さん頼みだ。
清水のホテルで十七日夜あった集会には中小企業関係者ら百人が集まった。天野さんは、市が計画する病院移転に反対する姿勢を明確にし、清水の振興策を語り合った。
告示日も清水での出陣式を最優先する。陣営幹部は「現時点で知名度不足は否めないが、現職に付け入る隙はある」と語る。
◆林さん 労働政策重点
林さんは二月二十五日に正式に立候補を表明して以降、労働組合や市民団体へのあいさつ回りを重ねる。
駅前や商店街など街頭でも、労働政策や原発事故の避難計画作成など、公約を訴える。「初めての選挙。近くで話を聞いてくれる人や支援者に握手を求めるのを忘れてしまう」のが悩みという。
会員制交流サイト(SNS)を活用し、グループホームや保育所などで交流する様子を公開している。
葵区の事務所では労組や市民団体、民主商工会などのスタッフが選挙戦の準備を急ぐ。林さんは「人の差配が大変。他の二人に比べて知名度は低いが、重点を絞り、政策本位の選挙戦にしたい」と話す。
◆田辺さん 組織固め順調
三選を目指す田辺さんは、受けて立つ立場。昨年十一月に出馬を表明し、自民党や連合静岡、企業、自治会など二百超の団体から推薦を受けるなど、組織固めは順調だ。
ただ、本人は公務に追われ、政治活動はほとんどできていない。代わりに自民市議や後援会が支援者回りをしている状況だ。
十八日は、市内で開かれた四つの会合を昼食抜きではしご。陣営幹部は「これまでは、夜にある自治会の会合に顔を出す程度。現職なので、告示までは市長選のために時間を割けない」と漏らす。
田辺さんは「着実に(市政運営を)やってきたという自負があるので、それを分かってくれる方たちがいると信じている。日曜日からはしっかり回りたい」と話している。
(広田和也、西田直晃、瀬田貴嗣)