統一地方選2019

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県都のいま 2019静岡市長選(上)

2019年3月19日

◆人口減 公共事業に影

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 六十九万九千四百二十一人−。静岡市は二〇一七年四月、政令指定都市の要件である人口七十万人を割った。だから取り消される、という規定こそないが、大阪や名古屋など計二十の政令指定都市で初となる異例の事態だった。

 そもそも七十万人も、静岡市が政令市に移行した〇五年当時、「平成の大合併」を促すために国が特例的に認めた「裏技」。従来の要件は百万人だった。

 多くの権限を譲り渡した県を代表し、川勝平太知事は「(政令市の)指定を返上すべきだ」と声を上げた。

 〇九年の七十一万七千百九十八人をピークに人口の右肩下がりが続く主要因は、自然減に加え、進学や就職による「十八〜二十二歳」の首都圏への流出。

 市も、手をこまねいていたわけではない。一六年、県外の大学に通う学生に新幹線定期代の三分の一を支給する制度を始めた。卒業後、市内にUターンすれば返済は不要。県外に進学した学生のUターン率は四割弱ほどだが、制度を利用した既卒者は七十八人のうち四十九人が市内で就職し、六割を超える。

 東京に移住相談窓口を設けるなど、打った手は「東京一極集中」の波にあらがうには至らない。市の担当者は「特効薬はない。地道に対策を積み重ねるしかない」と話す。

 県の最低賃金八百五十八円に対し、東京は九百八十五円、隣県も神奈川九百八十三円、愛知八百九十八円と軒並み高い。新卒の売り手市場も追い風に、若者はこぞって条件がいい大都市圏に向かう。特に、製造業が市内生産額の二割近い市から、一割以下の東京都への転出は目立つ。

 県立大経営情報学部の小西敦教授(行政学)は「雇用の製造業頼みから、若い女性が働きやすいよう、産業構造を転換するため、抜本的な対策が必要だ」と強調する。

80年以上使用され、さびがこびり付いた水道管=静岡市葵区の市上下水道局庁舎で

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 人口減少に歯止めがかからなければ、税収減、ひいては公共サービスに関わる市民の負担は増す。全国で社会課題化している水道管の老朽化は、市でも、象徴的な懸案だ。

 高度経済成長期に整備された水道管が一斉に耐用年数に達し、更新ラッシュを控える。市の経営戦略によると、現行の水道料金では今後十二年間で計百八十三億円が不足する。市は四月以降、水道料金の15%値上げを予定する。

 パブリックコメント(意見公募)で多くは耐震化、設備更新のための値上げに理解を示していると市は説明するが、一般市民に浸透しているとは言い難い。小西教授は「市民に説明責任を果たしながら、不人気政策も進めるしかない」と語る。

   ※   ※

 静岡市長選は二十四日告示、四月七日投開票される。県都の課題を検証する。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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