静岡市長選 三つどもえの様相
2019年2月26日
◆各党「びっくり」「論戦を」
三月二十四日の告示まで一カ月を切り、ようやく三つどもえの構図が固まった。四月七日に投開票される静岡市長選に、県議の天野進吾さん(77)=自民改革会議、元労働組合評議会議長の林克(かつし)さん(63)が二十五日、相次ぎ静岡市内で会見し、出馬を表明した。三選を目指す田辺信宏市長(57)の市政運営をともに批判した。
天野さんは合併前の旧静岡市長。二期目の任期途中だった一九九四年に辞任して以来、二十五年ぶりの返り咲きを狙う決意をしたことに対し、政党関係者からは驚きの声が上がった。
自民県連の藪田宏行幹事長は「びっくりしたというのが実感だ。県連としての動きも変わってくるだろう」と報道陣に語った。
二十七日午前に開く県連の役員会で天野さんから正式に出馬の説明があり、それを受けて今後の処遇を決めるという。党本部、県連は既に田辺さんの推薦を決定している。
同じく四月七日投開票の県議選・静岡市葵区選挙区(定数五)で、天野さんは自民の公認を得ている。天野さんの市長選出馬で、県議選の公認枠が空くことに、藪田幹事長は「早急に新たな候補者を検討したい」と語った。
国民民主党県連の岡本護幹事長は「元市長の出馬で世間の関心も高まる。活発な議論が予想されるので、有権者の選択肢が増えてよかった」と評価した。高年齢を不安視する声もあるが、「年齢を言うなら県議会も一緒。気にすることはないのでは」と話した。
党県連としては市長選に距離を置く。「どこからも推薦の申し入れはないので、県連は関与しない」と明言した。
立憲民主党県連の佐藤寛文副代表は三つどもえの構図になったことで、「投票率が上がることを期待する」と話した。林さんから推薦依頼はあったが、「自主投票を考えている」と話すにとどめた。
田辺市長の推薦を決定している連合静岡の中西清文会長は「相手が誰であろうと戦術を変えることはない。やることをやるだけ」と語った。
二十五日朝、天野さんから直接、出馬の決意を聞いた川勝平太知事は「『よく決心なさいましたね』と申し上げた。出馬するとの決断を心から歓迎する。市民の多くも歓迎しているのではないか」と話した。自身の関与を問われ、「(どの候補者も)応援しません」と述べた。
(岸友里、三宅千智、沢田佳孝、瀬田貴嗣)