統一地方選2019

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激突の構図 19年浜松市長選(中) 自民系新人 山本氏

2019年2月26日

◆対立が鮮明 独自候補

事務所開きで演説する山本遼太郎氏(左)。自民党の塩谷立衆院議員や市議、県議らが並んだ=1月27日、浜松市中区で

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 「市民と議会をばかにしている。腹が立つ」。二月上旬、浜松市議会最大会派自民党浜松の部屋で、当選八回のベテラン柳川樹一郎市議(68)は声を荒らげた。矛先は市長の鈴木康友氏(61)だった。

 怒りの理由は行政区再編。市議会特別委員会で約三年かけて協議し、市は終盤に浜北区と天竜区を残し、他を合区する新三区案を示した。自民にとっては突如出てきた案で、鈴木氏が押し切ろうとしているように見えた。

 委員だった自民の戸田誠幹事長(54)は「市長が対話しようとしないなら、こっちも対話せず候補者を立てることとなった」。渋い表情で山本遼太郎氏(32)を擁立した経緯を振り返った。

 自民は鈴木氏が初当選した二〇〇七年の市長選で、現職を推した。一一年と一五年は静観し、独自候補擁立は浜松市となって初めて。ただ、必ずしも鈴木氏と対立してきたわけではない。一五年は鈴木氏に政策協定を打診、「政策的に六割ぐらいは評価していた」(戸田幹事長)とするが、不満は増幅していった。

 今回の戦いは、自民、旧民主双方の関係者の間では、鈴木修スズキ会長(89)と自民党の塩谷立衆院議員(69)の「代理戦争」との見方もある。

 塩谷氏は市中心部の静岡8区が地盤。鈴木会長は、塩谷氏の父で元衆院議員の故一夫氏の時から塩谷親子への対立候補を支援し、〇七年の市長選では鈴木氏を応援した。「自民には負けた恨みも残っている」。旧民主関係者は、両者のこれまでの関係を語る。

 今回、塩谷氏は松菱百貨店跡地(中区)であった山本氏の事務所開きに駆け付けた。塩谷氏は「松菱跡地は十数年このままで誰も良いと思っていないが、現実は何も動かない。これが(浜松が元気のない)象徴」と現市政を批判した。

 鈴木氏と自民との対立は、ついに選挙で決着をつける状況となったが、自民は候補者選びに難航した。擁立を断念しようとした矢先、市議(当時)の山本氏が名乗り出た。入党一年未満だったが、「誰も出ないなら自分がやる。三十二歳で失うものが何もない」。

 山本氏の決断は渡りに船となった。会派内から「若すぎる」との意見も出たが、「現市政を変えるインパクトを与えられる」「彼を通してわれわれの考えを具現化する」と公約作りに着手。政策の柱に中心市街地活性化を据え、鈴木氏の政策と異なる松菱跡地への市役所移転を打ち出した。

 安倍政権が進める水道事業のコンセッション(運営委託)方式導入では、鈴木氏が「有効な手法の一つ」としながらも検討の当面延期を決めた。山本氏は自民とはいえ、導入に「断固反対」と対立軸を打ち出す。

 党県連が昨年十二月、党本部に山本氏の推薦を上申した後、鈴木氏も推薦依頼を提出した。双方に推薦が出ないとの見方が強いが、会派内には「鈴木氏だけを推薦したら反党行為が起きる」と、夏の参院選で自民候補の支援をボイコットするのも辞さない声がある。

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統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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