十六日告示された統一地方選の長野県辰野町議選（定数一四）で無投票当選した新人の学習塾経営野沢澄夫さん（６９）が、町選管に当選辞退を申し出たことが分かった。「家族に反対された。地域の推薦もないので議員活動に協力が得られない」と説明している。

　野沢さんの辞職で議会は欠員二となり、二〇二一年の町長選と同時に補選が行われる。

　同町議選は、定数割れで十三人全員が無投票当選。事前審査の時点で出馬予定者が十二人だったため、野沢さんは「欠員が出そうなのでいいチャンスと思った」と、家族らに相談せずに告示前日に書類を持ち帰り、十六日午前十時ごろ立候補を届け出た。

　だがその後、住民から「隙間ができたからといって入り込むのはフェアではない」との声が、野沢さんの家族や親戚に数多く寄せられた。十七日夜に家族で話し合い、十八日朝、辞退を町選管に伝えた。

　町選管や議会事務局によると、公選法の規定により、野沢さんには二十二日の当選証書付与式後に議会に辞職願を出してもらい、任期開始の三十日付で受理・許可することになる。

　野沢さんは町出身で、名古屋大農学部卒。県立高校教諭を経て現在は自宅で学習塾を経営している。本紙取材に、周辺町村との合併による地域活性化や、再編の議論がなされている辰野高校の存続、小規模小学校の統合など町政への熱い思いを吐露。「補選もあるので」と、改めての出馬も口にしつつ「推薦は得られないでしょう」ともあきらめ気味に話した。