地域愛、周辺部活発に 松本市議選、激戦要因は
2019年4月19日
二十一日投開票の松本市議選は、定数三一に対して四十二人が立候補した。候補者数を定数で割った倍率は一・三五で、近年増加傾向にある。同市で多くの立候補者が生まれる要因は何か、探った。
過去四回の同市議選は二〇〇三年は定数三四に対し三十八人が出馬して一・一一倍だったが、〇七年(定数三九)は一・一五倍、定数減で三一になった一一年は一・二五倍、一五年は今回と同じ一・三五倍となっている。
近隣では、塩尻市は〇七年の一・二九倍を除き、一・〇四〜一・一三倍で横ばい。安曇野市は五町村が合併した〇五年は一・六四倍と高かったが、〇九、一七年はそれぞれ一・一四、一・一八倍となっている。
なぜ松本市だけが倍率が高いのか。松本市議当選四回の現職で引退表明している忠地義光さん(75)は「市周辺部から積極的に候補擁立されるのが一因ではないか」と言う。
松本市は、比較的人口の少ない旧町村が統合されてきた経緯があり、インフラ整備など周辺部ならではの課題があることから、出馬が活発になるとの見方がある。
一方で、立候補への精神的なハードルの低さを指摘する声も。再選を目指す若手市議は、前回選は資金がなく、地声の街頭演説など独自の選挙戦で当選したことから「選挙のプロでなくても当選できると思う人が一定数出てきているのでは」とみる。
また、ある新人候補は地域愛の強さを理由に挙げる。「松本は周辺部でも昔ながらの地域が比較的残っているが、いずれ無くなる不安がある。子どもたちに残したい」と話した。
出馬が活発な半面、女性候補は男性三十人に対して十二人と、半数以下にとどまっている。ある新人の女性候補は「夫に出馬に反対されたり、街頭で大声をあげるなどの選挙手法に抵抗がある女性は多い」と指摘。「市の発展には、数だけでなく、多様な候補が立てる環境づくりが必要」と指摘した。
(川添智史)