統一地方選2019

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2市長選、無投票当選 7市議は選挙戦に

2019年4月16日

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 統一地方選後半戦の諏訪、茅野両市長選は十四日告示され、諏訪市長選は再選を目指した無所属現職の金子ゆかりさん(60)、茅野市長選は初挑戦の無所属新人今井敦さん(57)だけがそれぞれ立候補を届け出て、無投票当選した。松本や駒ケ根など七市議選も同日告示され、すべて選挙戦に入った。投開票は二十一日。

 諏訪市長選は、金子さんが初当選を果たした前回選から二回連続で無投票。茅野市長選は二〇〇三年以来、十六年ぶり。初当選の今井さんは前県議。二十九日に三期目の任期満了を迎えるのを前に、市長選への立候補に伴って自動失職した。二人は当選後、支援者らに市政運営にかける意気込みを語った。

 七市議選では、総定数一三一に対して百五十二人が立候補。二十一日の投開票に向け、人口減少への対策や産業振興などを争点に舌戦を繰り広げる。特に松本市議選では定数三一に四十二人が林立し、激しい票の奪い合いとなる。

◆諏訪市・金子さん 次代へ整えて引き継ぐ

 再選を果たした金子ゆかりさんは、十四日午後四時前には早々と遊説を切り上げ、選挙事務所で個人演説会。支援者らを前に政策を説明していたさなかに当選の報告が入り、ほどなく喜びの祝賀会に切り替わった。

 同市長選では一九九一年以来の二回連続無投票当選。金子さんは「多くの皆さんから負託をいただいたと前向きに受け止めたい」と語り、二期目に向け「新たな令和という時代が始まる。先達から引き継ぎ、整えてから次代に引き渡さなければならないことがある。それらにしっかりと取り組む」と決意を述べた。県議だった父の故松樹さんの言葉を思い出し、後援会などの支えに感謝して涙ぐむ場面もあった。

 一夜明けた十五日、諏訪市内の自宅で会見。旧東洋バルヴ諏訪工場跡地活用の具体化を進め、新たな公約として掲げた受動喫煙防止条例(仮称)の制定、観光の全体的将来構想づくりに着手する意欲を見せた。中央道諏訪湖サービスエリアへのスマートインターチェンジ設置は今夏までに国に連結許可申請をしたいとの考えを示した。受動喫煙防止条例については「子育て中の母親や飲食店関係者など、幅広く意見を聞く場を早急に立ち上げたい。市民を巻き込んで一緒につくる手続きがとても大事」と述べた。

◆茅野市・今井さん まちの総合力上げたい

 初当選した今井敦さんは十四日、選挙カーで市全域を回り、当選が決まった午後五時ごろに同市内の選挙事務所に到着。待ち構えた支援者ら二百五十人と握手を繰り返し、若い運動員による胴上げや花束の祝福も受け顔をほころばせた。

 同市長選では二〇〇三年以来、十六年ぶりの無投票。今井さんは「皆さまからご負託をいただいたと前向きに捉えさせてもらう。茅野市は可能性を秘めている。潜在能力を引き出し、有機的に結びつけ、まちの総合力を上げていきたい」と気を引き締めた。

 一夜明けた十五日、茅野市内で報道関係者の取材に応じた。公約として公民協働の「パートナーシップのまちづくり」の充実を挙げ「若い世代の発想を反映させ、時代に合わせて進化させる。ボランティアポイント制度と地域通貨を融合した茅野市型の制度を導入し、地域内経済や市民活動の活性化を図る」と意気込んだ。

 諏訪中央病院と公立諏訪東京理科大を生かした医療福祉の充実、産業振興と人材育成にも意欲を見せ、県議三期で培ったネットワークで推進する考えを示した。茅野は日本の縄文文化の拠点とし、観光振興に向け「市民が将来、縄文のことを国内外の人にきちんと伝えられるまちにしたい」とも熱っぽく語った。

<解説> 独自カラーの政策期待…諏訪 新機軸へ試される手腕…茅野

 隣り合う諏訪、茅野両市長選がともに無投票となった。当選した二人に共通するのは強固な支持基盤。変革の風もなく初めから優位に立ち、結果的に対抗馬の出現を阻んだ。青年会議所時代から一貫して地元のまちづくりに関わり、信頼を得てきた証しでもある。有権者は郷土を知り尽くした政治家に安定的な市政の発展を託した。

 諏訪市長選で再選した金子さんは、一期目の実行力が評価された。後利用が懸案だった旧東洋バルヴ諏訪工場跡地は、多目的展示場施設を整備する基本構想を策定。空洞化が深刻だったJR上諏訪駅前も民間会社の再開発事業に多額の公的資金を投入し、再生へと動きだした。金子さんは二期目の「マニフェスト」として八十一項目に及ぶ公約を発表したが、数値目標や達成期限は示されていない。健全財政に配慮しつつ「実現のチャンスをつかむためにしっかりと準備する」との政治理念に基づき、どれだけ形にできるのか市民は見ている。一期目は目の前の重要課題の解決に道筋を付けることに力を注いだ。次の四年間は金子カラーの政策が期待される。

 茅野市長選で県議から転身して初当選した今井さんは、現市政と連携し諏訪東京理科大の公立化やインフラ整備などを実現してきた実績がある。柳平千代一市長の引退表明当初から、次期市長の呼び声が高かった。

 同市政は今月五日に死去した矢崎和広前市長から公民協働の「パートナーシップのまちづくり」が受け継がれてきた。柳平市長は、国宝土偶に代表される地元の縄文文化は「宝」だとし、縄文を生かした地域づくりや教育、観光振興の取り組みの継続を望む。

 市政トップの交代は十二年ぶり。今井さんは新機軸を打ち出しながら、これらの「財産」を時代に合わせいかに磨き上げ、見直していくのか。その手腕が試される。

 金子さんと今井さんは青年会議所時代に諏訪地域六市町村の合併推進運動に携わったことも共通する。合併について金子さんは「効果的な次なるステージが見えたらすぐに対応できるよう連携協力を進めている」。今井さんも「強引に事を仕掛けるよりは、タイミングを逃さないよう常にアンテナを張ることが大切」と話し、現在も否定的ではない。今後、合併論議が盛り上がる可能性もある。

 両者とも無投票とはいえ白紙委任ではない。選択肢を失った有権者の批判的な声にも真摯(しんし)に耳を傾け、市政のかじ取りをしていく必要がある。

(中沢稔之)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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