<県議選ルポ> (中)塩尻市区
2019年4月1日
自民、共産の現職と無所属の元職の計三人が二議席を巡ってつばぜり合いを繰り広げる塩尻市区。三人は四年前の前回選でも争った相手。四年前は無所属新人の元市議を加えた四人の激戦だったが、落選した元市議が四月の市議選に出馬することになり、元市議が前回選で獲得した四千四百余の票の行方が注目されている。
県議会復帰を目指す無所属元職の続木幹夫さんは四年前、四選に挑む共産現職の備前光正さんは八年前、互いに当選を阻まれ、苦汁をなめた因縁がある。
「非自民、非共産の受け皿になる」。続木さんは旧民主党公認で出馬した前回選と異なり、無所属で挑戦。しがらみのない立場を強調する。
三十日午前は地元の洗馬地区で街頭演説を行い「前回は一期四年で終わった。もう一度、県議会で働かせてほしい」と力を込め、県道整備や子どもの貧困対策を強調した。
組織戦を進める他陣営とは対照的に草の根的な活動を展開。たすきを掛ける青色のジャンパーは、昨夏からほぼ毎日続けたつじ立ちで着てきた。「幹ちゃん、頑張って」の声援に笑顔で応え、大きく手を振った。
「国のいいなりになっている阿部知事のやり方に反対。県政を徹底的にチェックできるのは共産だけ」。備前さんは三十日午後、市内のスーパー前で声をからした。阿部県政との対決姿勢を強調し「県議会の場から日本の政治を変える力を与えてほしい」と呼び掛け。大北森林組合による補助金不正受給事件のさらなる解明や高校卒業までの医療費窓口負担の無料化を訴えた。
この日は党県議団長も応援入りし、阿部県政や安倍政権の批判を展開。夏の参院選を見据え、政権批判票の取り込みや党派を超えた支持拡大を呼び掛けた。
再選を目指す自民現職の丸山大輔さんは三十一日午後、人口の多い同市広丘吉田のスーパー前で「安全安心、未来に希望の持てる地域にします」と声を張り上げた。
三候補の中で一番の若手。無所属で出馬した前回選は一万一千四十三票でトップ当選したが、陣営幹部は「今回は甘くない」と組織を引き締める。今回は自民の公認を受け保守票の上積みを狙い、反自民票が流れないか警戒する。
農村部の演説では「農業の振興は私の重要テーマ。生産基盤の充実や新技術導入を進める」とアピール。「頼むぞ。大輔」と声を掛けられ、支援者らと握手をして回った。
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