<県議選ルポ> (上)飯田市・下伊那郡区
2019年3月31日
定数4に8人が立候補した県議選の飯田市・下伊那郡区のポスター掲示板=飯田市で |
二十九日に告示された県議選。合区と定数一減で環境が激変した飯田市・下伊那郡区(定数四)には、現職と新人計八人が立候補、混戦を極めている。香川県の面積に匹敵する大きさの新たな選挙区で、みずからの政策を浸透させようと各地を駆け巡る候補者を追った。
「郡部では新人」。自民現職古田芙士さんの陣営は飯田市全域に強い地盤を持つとはいえ気を緩めない。自身にとっても、新選挙区では初の選挙。二十九、三十日は出身地の下條村など郡部もくまなく回り、多選批判にも「(現職最多の)八期の人脈や経験が強み」と対抗する。
飯伊地域から長らく県議を送り出していない共産。新人の水野力夫さんは前回選の飯田市区に立候補、八千四百五十八票を得た(次点)。今回、浮動票や郡区の共産票を取り込めれば「悲願の議席獲得」が狙えると関係者は期待。二十九日には参院選候補者が応援で訪れ、支持を呼び掛けた。
無所属新人の熊谷元尋さんの選対は「僅差の戦いになる。北部からも県議を出さないといけない」と、地盤の郡北部票集めに力を注ぐ。三期務めた高森町長時代の人脈などを生かし、二十九日の同町での街頭演説には現町長や飯田市長も駆け付け、地元首長との信頼関係をアピールした。
四選を目指す無所属現職の吉川彰一さんは二十九日に地元の郡北部、三十日に郡西南部を遊説。選対幹部は「正式な出馬表明が遅く出遅れた」とする一方、阿南町議が後援会長を務めることから「阿南など、他陣営が手薄な西南部を回り支持を広げる」と巻き返しを誓う。
「広い選挙区を八人が横一線で走っている」。自民現職の小池清さんの出陣式で、支援者が今選挙の構図をこうたとえた。陣営は郡部に後援会の支部を設けるなどして知名度アップに懸命。四期の実績があるとはいえ小池さんも気を引き締め、三十日も各地をくまなく回って支持を訴えた。
「南信州に新しい時代を切り開く」と声を張り上げるのは、公明新人の川上信彦さん。党の支援も手厚く、二十九日には石田祝稔(のりとし)政調会長、三十日には石井啓一国土交通相も飯田入りし「最大の特徴である党のネットワークを生かし、課題を実現させることができる」などと強調した。
飯田市中心部が地盤の無所属現職小島康晴さんは三期連続トップ当選だが、選対は「今選挙は票数を減らす要素が多く、新人だった十二年前よりも厳しい」と引き締める。二十九、三十日は各地で声を届け、各市町村にできた支持者と連携しながら、小中規模の集会を重ねて支援を求める。
最年少の無所属新人早川大地さんは、後援会支部数は松川町に一つのみとはいえ「ゼロから立ち上がることに意味がある」と前を向く。期日前投票が始まった三十日は、遊説の力点を郡部から飯田市中心部に急きょ変更。リニア開業を見据えて若さと行動力をアピールした。