統一地方選2019

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<点検・信州の議会> (4)女性議員

2019年3月15日

 「議会は男の嫉妬(ジェラシー)が渦巻く『ジェラシックパーク』だった」。二月二十四日、飯綱町であったシンポジウムで、安曇野市議の小林純子さん(64)が振り返った。

 同市と合併前の旧穂高町議に初当選した十五年ほど前、議会で自身の属さない委員会の傍聴を希望すると、複数の男性議員に囲まれ「俺たちを信用できないのか」と怒鳴られた。こうした雰囲気は当選を重ねるうちになくなったが「仕事をする女性議員に嫉妬する。男性議員の本音は変わらないのでは」と感じている。

 社会の半分は女性だが、議会の構成は違う。県議会は現在、定数五八(改選後五七)のうち女性は8・6%の五人。県内の市議会で女性議員の占める割合は二〇一七年末で15・5%、町村議会は13・6%と男性が大多数を占める。

 「一人では意見が通りにくい。議会の三割を女性にすることから始めてほしい」と呼び掛けるのは、地方政治に詳しく、飯綱町のシンポにも参加した山梨学院大の江藤俊昭教授。「地域に根差した女性の活動が政策提言につながれば、多様性が生まれる。議会の魅力も高まり、なり手不足の解消にもつながる」と女性議員が増える意義を強調する。

 ただ、現実には旧来の男性優位社会が増加を阻む一因になっているとして「家族の反対で立候補を断念した女性がいるという話を各地で聞いた」と明かす。

 元下諏訪町議で、女性を増やす活動にまい進してきた樽川通子さん(89)は「二〇〇七年には県議会の女性比率は19・0%で日本一だった。現状には無念を感じる」と唇をかむ。地区を仕切る男性たちが決めた候補を応援せず、自ら立候補した樽川さんは中傷も受けた。町の女性らと連携して乗り越えたと振り返り「厳しい現状は理解しているが、それでも勇気を持ってほしい。女性がいない議会でいい社会はつくれない」と後進に奮起を促す。

 「子どもはほったらかしか」。県内のある女性議員は公務で姉妹都市を訪問した際、飲食の席で男性議員に皮肉られた。幼い子どもの健康診断で公務を欠席した時は陰口をたたかれた。

 「公務に出ても出なくても文句が出る。女は議員にならず、家事でもしていろということか」と不満をぶちまける。首長選に立候補した女性の応援に出向き、男性有権者から「女に何ができる」と面と向かって言われたこともある。

 この女性議員は、一七年に熊本市の女性市議が乳児を連れて議場に入ろうとして話題になった騒動を振り返る。「物議を醸すことが突破口となり、女性も議員を務めやすい議会に変わるのでは」。任期中に出産する秘密の計画を明かし、笑みを浮かべた。

 (この連載は我那覇圭、渡辺陽太郎、阿部雅之、中沢稔之、寺岡葵、林啓太が担当しました)

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統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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