統一地方選2019

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なり手不足、県議選にも影 市町村議選で無投票相次ぐ

2019年2月28日

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 今春の統一地方選の前半戦、県議選が三月二十九日に告示されるまで一カ月余りとなった。統一地方選で注目されるのが、議員のなり手不足の問題。市町村議選で無投票が相次ぐ県内で、最近は人口の少ない町村議選に加えて市議選にも無投票が出始め、議員のなり手不足の深刻さを浮き彫りにしている。

 「意中の人物が首を縦に振ってくれず、自分が立候補するしかなかった」。一月下旬に告示された生坂村議補選で初当選した望月典子さん(77)は複雑な心境をのぞかせた。高齢であることなどを理由に立候補をためらったが、告示前日の二十八日に決意。土壇場で約二年ぶりに欠員状態は解消されたが、無投票は二〇〇五年から続いている。

 生坂村は議員定数を〇五年の選挙で一二から一〇に、〇九年選挙からは八に減らした。それでも一七年四月にあった前回の村議選で立候補者が七人にとどまり、定数割れに陥った。

 防災対策や高齢者福祉の充実などを求める市民団体の会長を務める望月さんは「声を上げなければ要求は実現できない」と知人らに立候補を呼び掛けてきたが、仕事や育児との両立の難しさなどを理由に難色を示された。村唯一の女性議員として活動に力を入れるが、二年後の村議選では後進に道を譲る考えだ。

 県内では昨年一年間に補選を除く九市村で議員選挙があったが、三分の二の六市村で無投票。小谷村では一九五八年の村政施行後、初めて定数割れした。伊那市議選が一九五四年の旧市発足以来、中野市議選が二〇〇五年の合併後、初めて無投票に。今年に入ってからは小諸、須坂市議選が続き、ともに五四年の市制施行後初めての事態だった。

 小諸では福島鶴子市議(79)が高齢を理由に、須坂では宮坂成一市議(65)が昨年に脳梗塞を三回患い足に後遺症が残ったことから一時引退を検討したが、やはり後継者が見つからず、それぞれ現役続行に転じた。

 議員のなり手不足は、四月に控える統一地方選前半戦の県議選にも影を落としている。二十三選挙区のうち半数以上の選挙区で無投票になる可能性も指摘され、立候補を予定する現職県議は「住民の暮らしを決める政策の議論をしないまま、県民の代表を決めることになる」と危ぶむ。

 なり手不足を懸念した総務省は専門家らで「町村議会のあり方研究会」を設置し、昨年三月に報告書が公表された。報告書は、全国的な傾向として「市町村が小規模になるほどなり手不足が切迫している」と指摘。議会の拘束時間の長さや議員だけでは生計を立てられない報酬の低さを背景に挙げた。

 研究会のメンバーを務めた山梨学院大法学部の江藤俊昭教授(地域政治論)は「立候補者を担いだり、自身が担がれたりしてきた自営業者や農家が減ったほか、年を重ねても会社で働く人が増えるなどの要因が絡み合い、小規模な市にも無投票の流れが広がっている可能性はある」と指摘。議会の意義を分かりやすく伝え、報酬の見直しや兼業をしやすくする必要性を強調した。

(我那覇圭)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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