統一地方選2019

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なり手不足 低調招く 議会も有権者も現実直視を

2019年4月22日

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 統一地方選が終わり、石川の地方自治を担う新たな顔触れが決まった。無投票や立候補者数の減少など「なり手不足」が露呈し、投票率の下落も続く。このままでは有権者と政治の距離はますます離れ、民主主義の根幹が揺らぐ。最終的に損をするのは県民だ。負のスパイラルを断ち切るためにも、議会が、有権者がこの現実を直視しなければならない。(田嶋豊)

◇今後の県政界展望

 参院選の前哨戦と位置付けられた統一地方選。県議選では自民は複数の県連幹部が落選したが、新人を加え、改選前の勢力をほぼ維持した。国政や県政界で自民が圧倒的多数を占める「一強」の中で非自民勢力がどう存在感を示していくか。

 国民民主は県議会の議席を一つ増やした。金沢市議選では立憲民主が県内で初めて候補者を擁立し、一議席を獲得。小さな風穴を開けた。県内では共産を除く勢力が長らく「非自民」でまとまってきた。立憲がこの先どう動くのか。ボタンを掛け違えば勢力は分散され、自民を増長させることにもつながりかねない。

◇多様な意見に耳を

 議会は同じような顔触れが続けば、硬直化、形骸化する。目を向ける課題点や政策も偏りかねない。新陳代謝が図られたことは大きな意味を持つ。

 ただ前回に比べ、立候補者数は大きく減った。市町は特に住民の暮らしに直結するだけに、議会も住民を巻き込んでいくことが大切だ。特定の支援者や利害関係で結ばれた団体だけでなく、多様な意見を聞く改革を進め、議員や議会の必要性が市民に伝われば、おのずと議員報酬見直しなどへの理解も得られるはずだ。

◇次の時代へ

 地方の自主裁量を高めた地方分権一括法や市町村合併など、地方行政を取り巻く環境が大きく変わった「平成」が間もなく終わる。新たな時代では少子高齢化や人口減少、多死社会の到来など問題はさらに深刻化していく。地方創生も含め、これらの問題に議会としてどう向き合うか。

 二〇二三年春には北陸新幹線が敦賀まで開業する。未開通区間だった南加賀の期待も大きい。一方で東京、関西、中京からの「終着駅効果」は失われる。この四年間は石川の針路を大きく左右する大事な時間となる。

投票率 金沢は4割下回る

 県内八市町議選の投票率は軒並み前回を下回る結果となった。金沢市では初めて四割を切ったほか、小松市や津幡町、穴水町でも前回から6ポイント以上、下がり、全体では44・56%と五割を大きく割った。県議選と同様、有権者の関心の低さが浮き彫りとなった。

 金沢市は新人が前回を四人上回る九人立候補したものの、前回比で4・04ポイント下がり、36・33%で過去最低を更新した。市民に最も身近な市議選ながら県議選金沢市選挙区の38・89%をさらに下回り、今回選挙戦となった八市町で最も低かった。投票区別でみても、有権者数が一万人近くいる投票区で三割を切るなど、有権者数が多い地区を中心に投票率の低さが目立った。

 定数二超の小松市も6ポイント以上も下がって58・38%で過去最低に。ともに定数一超だった野々市市(41・91%)と津幡町(49・86%)も五割を切った。

 能登地方では四市町のうち三つが七割を超えたものの減少傾向は変わらない。八年ぶりの選挙戦となった志賀町(69・12%)は八年前の80・57%から10ポイント以上減少した。最も高い77・78%だった珠洲市も3・73ポイント減。次いで高かった輪島市(75・11%)、穴水町(72・12%)も低下は避けられなかった。 (小坂亮太)

川北町長選 前さん薄氷の勝利

真摯に町民と対話を

 川北町長選で現職の前哲雄さんは組織力で勝るものの、七十四票差の薄氷の勝利だった。選挙結果からみて、政治姿勢に対して一部町民の不満も浮き彫りになった。前さんには一層、謙虚な町政運営が求められる。

 新人の中村勝巳さんが選挙戦で訴えたのは、「町民との対話」だった。背景には、ごみ処理、消防の広域連携を変えた際の説明不足がある。生活に密着した仕組みが急に変わり、一部町民に不信感が生まれた。

 今回の選挙は町を二分し、「町民同士のしこり」を生んだようにも映る。人口減、公共交通の確保など課題の解決には町民の融和は不可欠。より真摯(しんし)に町民の声に耳を傾け、説明責任を尽くす他にないだろう。 (吉野淳一)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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