統一地方選2019

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18歳 能登の明日思い 故郷離れ迎える初選挙

2019年4月19日

将来への希望を胸に、卒業式に臨んだ高校生。多くの生徒が進学や就職で故郷を離れた=3月1日、石川県輪島市の輪島高で

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 人口減少が深刻な石川県能登地方。この春、新たな期待を胸に、ふるさとを離れた若者も少なくない。選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、初めて迎えた統一地方選はいま、身近な暮らしに直結する市町議選が行われている。新たな地で生活をスタートさせた十八歳たちは、選挙を、まちの将来を、どう見つめているのか−。(統一地方選取材班)

「活性化託せる候補に」 「投票の情報全くない」

 穴水高を卒業し、言語聴覚士を目指して新潟医療福祉大(新潟市)に進学した鈴木菜月さん(18)。「友達との会話で政治の話題になったことがない。投票する実感はまだ湧かない」と明かす。情報通信が進展した中で育ってきただけに「ネット投票の制度があれば便利だし、選挙に参加しやすいのに」とも語った。

 自らの夢をかなえるため地元を離れる決断をした。ただ、帰省するたび、町が静かになる様子は見たくない。「子育てしやすい町づくりや地域の活性化に取り組んでくれる候補者に一票投じたい」と話す。

 「受験が終わって、新しい生活が始まったばかり。毎日が忙しい。正直、選挙のことを考える余裕はない」。輪島高から大阪大に進学した山下真矢さん(18)はそう語る。投票できるのは住民票が三カ月以上ある自治体。山下さんが投票できるのも輪島市議選となる。「誰に入れればいいのか、どこで投票できるのか、情報が全くない。社会人になったら、選挙に行くことを意識せざるを得ないけど、今はそのためだけに帰省をするのは…」と戸惑う。

 同じく輪島高から金城大(白山市)に進学した池澄実葉(いけずみみつば)さん(18)は「初めて得た権利。ちゃんと使いたい。最初の一歩が大事だと思う」と話す。一方、「何を基準に投票したらいいか分からない。SNS(会員制交流サイト)とか若者の目に入るところで、選挙に関する情報が気軽に見られると投票のハードルも下がると思う」と考える。

 金沢大法務研究科講師の河村和徳さん(地方政治論)は「統一地方選は新生活が始まる時期にあり、若い世代から行きにくいとの意見が出るのは当然。ただ歴史も古く時期をずらすのは難しい」とみる。一方で「子どもの頃から、生まれ育った場所の課題を学校や家庭で話し合うことで、地域について深く考えるようになる。日頃から地域のことを考えるようになれば、自然と投票に行く若者も増えるはず」と指摘する。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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