女性議員 もっと仲間を
2019年4月14日
候補者の男女比をできる限り均等にすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」が施行され、初の大型選挙となった今回の統一地方選。前半の四十一道府県議選では、政府目標にはほど遠い現実が浮き彫りとなったが、現場で活躍する女性地方議員たちは何を思うのか−。(統一地方選取材班)
中能登町議会2氏「頑張る姿を見て」
政府は「二〇二〇年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げる。石川県内で最も高いのは中能登町議会で、定数一二のうち女性は二人(16・67%)。
同町議会で初の女性議員となった公明の笹川広美さん(56)は現在四期目。買い物中などに声を掛けられることが増えたが、受け入れてもらえるまでには時間がかかった。
初出馬の〇六年。支援を求めて町内を歩いたが、期待した女性たちの反応は「夫に聞いてみるから…」といまひとつ。「女性候補だからといって、女性が応援してくれたわけではなかった」
この時、長男は小学四年生。当選後は会合や勉強会に参加するため家を空けることが増え、一緒に過ごす時間が短くなった。
「議員さんにならなきゃよかったのに…」。応援してくれていた長男がふとこぼした言葉が忘れられない。母親として、妻として。そんな葛藤を抱えていた中、夫の両親らの協力が大きな支えとなった。
昨年、無所属の古玉(こたま)いづみさん(40)が父親の後を継ぎ、町議会に加わった。
古玉さんは、長女(16)のほか、次女(4つ)の子育て真っ最中。議員活動は決して楽ではないが、議員をどこか遠くの存在に感じている若い母親らと同じ目線に立てる。「子育て支援はありがたいけど一番は子どもたちの時代に借金がないこと」。そう打ち明ける女性に、思いを重ねることもある。
笹川さんと古玉さんは「もっと仲間がほしい」と口をそろえる。「女性議員が何をしているのかを伝え、私たちが頑張る姿を見てもらうしかない」と考えている。
「活躍しやすい」半数超
県内19市町議長 本紙アンケート
女性議員が活躍しやすい環境ですか?−。本紙が県内十九市町議会議長を対象に実施したアンケートで、議会が活躍しやすい環境にあると感じている議長は半数以上を占めた。
「感じている」を選んだのは七尾、白山、加賀、能美、かほく、中能登、能登。「どちらかといえば感じている」とした金沢、輪島、穴水、志賀、宝達志水を合わせると十二人に上る。
一方、「感じていない」は珠洲、「どちらかといえば感じていない」は野々市と羽咋。小松、川北、津幡、内灘は「どちらでもない」だった。
女性の議員増に必要なことを複数可で選んでもらうと、十二人が「有権者の意識啓発」を挙げ、六人が「女性議員を育成する機会の提供」を選択。三人が「産休・育休・介護休暇などの明文化」、一人が「託児所・授乳室などの環境整備」と答えた。