統一地方選2019

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新人躍進も進まぬ若返り 県議選記者座談会

2019年4月9日

 七日投開票された県議選は、七選挙区で激しい選挙戦が繰り広げられた。新人六人が当選したが、改選された県議会の平均年齢などは前回改選後とほぼ同じ。担当記者が選挙戦を振り返り、今後の県政界などを展望した。(統一地方選取材班)

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実態見えず焦る重鎮

◆激戦区

 A 与野党一騎打ちとなった鹿島郡選挙区は二十六票差という大接戦だった。

 B 初当選した国民民主新人の岡野定隆志さんと、自民現職の山田省悟さんの戦い方は対照的だった。岡野定さんは弟の近藤和也衆院議員が実践している「草の根」がまさに奏功した。

 C 山田陣営も演説会で多くの人を集めても「相手側の実態が見えにくい」と不安が拭えずにいた。慣れないつじ立ちも印象的だった。

 D 国会議員だけでなく、無投票当選した現職県議たちも応援に回った。能登に縁のない人を送り込み、負のスパイラルに陥ったようにも映る。当落が判明後、ある現職は「個々がバラバラにやってるからだ。組織戦と言いながら十分な態勢、戦略ができてなかった」と分析していた。

 A 山田さんは党県連総務会長。党県連幹事長の吉崎吉規さんが敗れた白山市選挙区も激戦だった。

 C 九人が乱立した前回とは違い、誰が落ちてもおかしくない選挙戦だった。当選した無所属新人の安実隆直さんが自民党松任支部幹事長という「身内」からの出馬に、どの陣営にも危機感が広がっていた。

 A 告示前はそれぞれに決め手を欠いていた。終盤には作野広昭さん、横山隆也さんが抜けたという情報もあった。

 B 横山さんはこの四年間の仕事ぶりを評価する声をよく耳にした。地盤の白山麓旧五村は有権者も少ないけど、国会議員秘書時代に培った人脈はさすが。

 A 七尾市では告示前から自民党の推薦を巡って、現職の和田内幸三さんと新人の清水真一路さんを支持する市議らの対立が表面化した。

 D 和田内陣営からは「これまで支持があった街中が苦戦している」との声も漏れていた。清水さんには西田昭二衆院議員に近い市議らが応援に回り、和田内さんも西田さんの動きをしきりにけん制していた。まさに意地だったと思う。

 A 内灘町が二分した河北郡選挙区は、町長と元町長の対立構図が浮かんだ。

 C 落選した自民現職の米田昭夫さんを支援した川口克則内灘町長のショックは大きかったと思う。「政治生命を懸けて応援する」とも言っていたよう。僅差ならまだしも、当選した無所属新人の太田臣宣さんに三千票以上の大差をつけられた。今回の結果は次の町長選にも影響必至だ。

政策ビラに貼られた証紙=県内で

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「政策ビラって何?」

◆変わる選挙

 A 今回の県議選では多くの陣営が人手不足に悩まされていた。

 B 企業からの応援スタッフの少なさが影響した陣営もあった。企業が「働き方改革」を進める中、社員を出しにくい環境になっているのだろう。

 C 企業や労働組合が多忙で、部署異動もある年度末から年度初めにかけての選挙だったのも影響したのでは。

 A 時代の流れなどを感じさせる取り組みは。

 B 若者を意識してインスタグラムやフェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)で情報発信する陣営も。ただ「そもそも興味を持つ人でなければ見てくれない」と効果は限定的とみる陣営もあった。

 C インターネットを使い慣れたスタッフがいない陣営では「言葉の使い方などを誤って、万一“炎上”でもすれば大変なことになる」と、あえて積極的に活用していなかった。

 A 今回の県議選から初めて政策ビラの配布が解禁された。

 B 都道府県議選で配布できるのは一万六千部。有権者が多い金沢などでは街頭で配るには多いし、全戸配布するには足りないし。実際、多くの有権者から「政策ビラって何? 一度も見なかった」という声を聞いた。

 C ビラには全てに証紙を貼る必要があり、どこもスタッフ総出で証紙貼りに精を出していた。ある陣営は証紙が一枚余り、「ビラが一枚足りない」と騒ぎになる一幕もあったんだ。結局、候補者が政策ビラを一枚、手元に持っていて、スタッフはホッとしていたけれど。

当選43人 平均年齢57.8歳

 当選した四十三人の平均年齢は五七・八歳。四年前の前回の五七・五歳とほぼ同じで、若返りは進まなかった。

 世代別に見ると、最も若いのは能美市能美郡の橋本崇史さんで三十四歳。三十代は他に、金沢市の打出喜代文さん(37)と羽咋市羽咋郡南部の本吉浄与さん(39)の二人だった。

 四十代は七人、五十代は最も多い十五人で、六十代は十人、七十代は六人。八十代は二人おり、最高齢は八十一歳の加賀市の向出勉さんだった。

 当選回数は、小松市の福村章さん(80)が十一回と最多。羽咋市羽咋郡南部の稲村建男さん(75)が十回、向出さんが九回で続く。平均当選回数は四回で、前回の三・九回とほぼ同じ。初当選は六人で、前回の八人から二人減った。

 告示前に実施した本紙アンケートで、県議の最も重要な役割は何かを選択式で尋ねたところ、当選者の半数近い二十一人が「地元の課題解決」を挙げた。「政策提案」を挙げたのは十三人、「行政監視」が五人、「県民との意見調整」が三人。「その他」として、どれも大事としたのが一人だった。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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