統一地方選2019

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人手不足/ICT活用/働き方改革 選挙にも変化の波

2019年4月6日

自転車を使って遊説する県議選の候補者(左)=石川県内で

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 人手不足、情報通信の進展、働き方改革…。そんな社会の変化が七日投開票の石川県議選にも押し寄せている。候補者を支持する人らの高齢化も進む。選挙の風景が様変わりしつつある。(統一地方選取材班)

 「これまでは選挙応援に人を出してくれる会社があったけど、その派遣がなくなった」。金沢市の現職陣営で事務を担当する男性スタッフが明かす。金沢市内では景気が上向き、北陸新幹線開業効果が今も続いており、かつて「手足」としてフル回転していた企業側も人手不足が深刻。スタッフは「社員に選挙の応援に行ってこいという余裕もないんだろう」とみる。

 この事務所では選挙カーの前後を行く「随行車」を廃止した。数台が連なりアピールするという光景はこの陣営で見られない。

 人手不足を補うのは情報通信技術(ICT)。選挙カーに衛星利用測位システム(GPS)発信機を付け、事務所内のモニターで位置を確認している。スタッフは「選挙カーの場所を聞いてくる支援者に即答でき、出先と電話でやりとりする手間も省ける」と話す。

 金沢市の別の陣営では遊説先で選挙カーと自転車を使い分ける。「車なら五人は必要だが、自転車なら二、三人いれば大丈夫」と候補者。人を見かけると、すかさず自転車の向きを変え、握手を求めに走る。「選挙カーより市民の反応がいい。体力さえあれば自転車の方が効果的」と手応えも感じる。

 「負担軽減のため、できる限り早く、午後九時すぎには事務所を閉める」。加賀地区のある陣営では「スタッフの働き方」も気遣う。連日、夜遅くまで会議が開かれたり、支持者が詰め掛けたりしていた事務所は姿を消しつつある。

 常とう手段とされてきた「電話作戦」をやめた陣営も少なくない。携帯電話が普及し、固定電話を置かなくなった家庭が増えたため。ニセ電話詐欺に間違われるケースもあるという。

 総決起大会も「高齢化した支援者に長い時間、話を聞いてもらうのは負担」「無理に動員してもあまり効果がない」と、今回からやめた陣営が複数あった。

 「ずっと手伝ってくれた人はいるけど、高齢になり、やめたらそれで終わり。これからどうなるのか…」。核家族化が進む中、ある陣営の関係者がつぶやく。時代の変化にどう対応し、支持者を広げるのか、手探りが続く。

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県議選投票率6回連続で最低

記録更新 止まるか

 石川県議選は七選挙区で舌戦が続く。選挙権年齢が十八歳まで引き下げられて初めての統一地方選。県議選の投票率は、六回連続で過去最低を更新しているが、果たして記録更新をストップできるのか−。

 県選管によると、一九八三(昭和五十八)年の77・50%から右肩下がり。四年前の前回に初めて50%を割り込み、48・15%まで落ち込んだ。

 年代別で低いと推定されるのが二十代だ。昨年三月の県知事選では、二十代前半が21・01%、二十代後半が26・80%。全体の39・07%を大きく下回ったほか、選挙権を得たばかりの十八、十九歳の29・43%より低かった。

 今回の期日前投票は三月三十日から始まり、前回を上回るペース。一年前の知事選で全体の40・5%が利用しており、投票日に投票していた人が期日前投票に回る傾向があり、投票率がアップするとは限らない。県選管の担当者は「多くの人の目に触れるよう、あらゆる手だてを講じて最後まで呼び掛けていく」と話している。

 七日の県内は曇り時々雨と予報されている。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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