県議選 各陣営 政策ビラ解禁 温度差
2019年4月1日
遊説中に立ち止まった住民(中)に政策ビラを手渡す候補者=31日、金沢市内で(伊藤隆平撮影) |
公選法の改正で、今回の統一地方選から候補者の政策方針などを記した政策ビラが一部で配られるようになった。石川県議選では、各陣営は一人でも多くの有権者にアピールしようと活用する考えだが、期待感には温度差もみられる。(統一地方選取材班)
「出来栄えが勝敗決める」「効果は未知 対面が一番」
「これまでは選挙中に有権者に渡せるものがなかった。政策を少しでも知ってもらえる機会になる」。金沢市選挙区のある候補者は選挙カーに乗せ、街頭演説で足を止めた有権者に手渡しする。新聞にも折り込み、多くの人に思いを伝えられる取り組みを歓迎した。
陣営により戦略は異なる。写真を大きく載せたり、色を多彩にしたり…。能登地区のある新人陣営の関係者は「ビラの出来栄えと配り方が勝敗の行方を決めるかもしれない」と力を込め、総決起大会の日程や政策を記した第一弾を出した後、第二弾は人柄を伝える内容に差し替える。
金沢近郊のある候補者は新聞購読者をターゲットに、折り込みに重点的に使う。「選挙を知ってもらい、投票行動につながるのでは」と期待する。
県議選で配布できる政策ビラは、候補者一人当たり一万六千枚。有権者数は選挙区によって異なり、金沢市選挙区の場合、全域はカバーできない。
「手渡しして街中に捨てられでもしたら…。でも折り込みで全戸配布するには足りないし」と、ある陣営関係者。「効果という意味では限定的では」とみる。別の陣営幹部も「ほぼ全ての候補が配るだろうし、特別な効果は未知数。歩き回って有権者と顔を合わせる戦略が一番」と語る。
早大マニフェスト研究所(東京都)などが昨夏に全国十八歳以上の男女を対象にインターネットで調べた結果では、政策ビラに必要な項目は主に政策、ビジョン、活動成果、政治信条など。地域課題や政策の優先順位づけへの関心も高い。
街頭演説や選挙公報、二〇一三年に解禁されたネット選挙など情報の入手方法が多様化する中、この研究所は「よく見聞きされるものが必ずしも参考になるわけではなく、それぞれに特性がある」と分析。「情報を自ら取りにいく人はまだ少ないが、情報を入手すれば高い確率で参考にしている。政策ビラも作成の仕方で有権者の関心を政策に向かわせるツールとなり得る」とみている。
政策ビラ配布 候補者1人が配布できる枚数は都道府県議選が1万6000枚、市や特別区議選は4000枚など。町村議選は認められていない。これまで国政選挙と首長選に限られていた。2種類作成でき、新聞折り込みをはじめ選挙事務所、演説会場、街頭演説先で配布できる。石川県内では県や市が条例を改正し、印刷費を公費で負担する。県議は1人当たり約12万円。