統一地方選2019

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県議選7選挙区無投票公算 34万人投票できぬ恐れ

2019年3月23日

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野々市市長選 2期連続無投票か

川北町長選 24年ぶり選挙戦へ

 二十九日告示、四月七日投開票の石川県議選に立候補する顔ぶれがほぼ固まった。全十四選挙区のうち七選挙区で無投票が濃厚だ。今統一地方選で改選期を迎える首長選や市議選では、四月二十一日に投開票される野々市市長選と川北、津幡、内灘の三町議選で無投票の可能性がある。県議選の七選挙区、野々市市長選、三町議選で予想通り無投票で当選者が確定すると、投票できない有権者は延べ三十四万人に上る見込み。(統一地方選取材班)

 無投票となる可能性が高い七選挙区は今回、合区となる珠洲市鳳珠郡をはじめ輪島市、羽咋郡北部、羽咋市羽咋郡南部、かほく市、能美市能美郡、加賀市。かほく市選挙区は顔ぶれが違うが、四回連続となる。

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 無投票の選挙区は二〇〇七年が五だったが、民主党政権だった一一年は非自民系候補が多く出馬し、現職の自民候補と争う選挙区が多く三選挙区になった。一二年に自民が政権に返り咲くと、「自民一強」が加速。旧民主勢力は離党議員が相次ぎ、一時、県議が不在になり、対抗馬擁立も難航。このため、一五年は無投票の選挙区は戦後最多の八に膨らんだ。

 今回もそれに次ぐ多さだ。四十三議席に対して五十三人が出馬を予定するが、党別では自民三十二、公明二、国民民主二、共産一、社民一、無所属十五人(うち三人は自民推薦)。「一強」が続き、定数が一、二の選挙区で、自民対野党という構図が一部にとどまっていることが背景にある。

 首長選では野々市市長選が現職以外に目立った動きはなく前回に続き無投票の見込み。川北町長選は一九九五年以来二十四年ぶりの選挙が濃厚となっている。

 十六日に告示される町議選では、無投票がささやかれるのは前回二十年ぶりに選挙があった川北。津幡、内灘では無投票の公算があるが、出馬を巡り水面下での駆け引きが直前まで続き、流動的な情勢だ。

 急きょ定数を二つ減らした志賀は前回無投票だったが、定数削減前から出馬を探る動きがあり今回は選挙戦となる可能性がある。穴水は選挙になる見込み。

 十四日告示の市議選は金沢、小松、珠洲、輪島、野々市の五市で行われるが、いずれも前回同様、選挙戦となる見込み。市議選は「平成の大合併」後の二〇〇七年以降も無投票はない。

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投票機会失い 無関心増

河村和徳・金大法務研究科講師

 統一地方選の無投票当選者数は市議・政令市議は極めて少ないが、都道府県議や町村議は一九八〇年代以降、増加傾向にある。約二割が選挙の洗礼を受けずに、その地位に就くことが常態化している。

 県議は定数一人区の場合、現職が強く対抗馬のなり手がいない例が多い。二人区は与野党などの構図が議席を分け合う可能性が高い。そんな構造の問題がある。

 町村議は「選挙にカネをかけたくない」との心理が影響する可能性が高い。地域行事、後援会活動に費用がかかるが、議員報酬は低いことが多い。このため議員が割に合わないものになっており、引き受けてくれる者がいなくなりつつある。

 無投票には選挙費用の節約という恩恵こそあるが、当選者の公約を把握できない弊害がある。無投票で楽な選挙を繰り返せば、新しい選挙環境への対応はもちろん、新陳代謝の機会を失い、次世代の政治家が育ちにくくなる。

 何より投票の機会が失われることは投票の習慣化を促す機会を有権者から奪う。政治との距離感を感じる有権者が増え、政治に関心を失う者を増やすことにつながる。選挙は有権者と政治との距離を縮める貴重な場だ。地方選挙は候補者の政治的資源(地盤、看板、かばん)に依存する仕組みが残り、国政選挙のように政党中心に移行する必要があるだろう。 (談)

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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