川北町長選 構図鮮明
2019年3月11日
組織戦 前さん 国や県にパイプ、町議の支援
草の根 中村さん 地元・橘地区中心に支持拡大へ
4月16日告示の川北町長選は、現職の前哲雄さん(65)と新人の中村勝巳さん(66)が事務所開きを終え、各陣営の支援の構図と戦略が鮮明になった。前さんの陣営は議員や近隣市長の支援を得て、国や県、市とのパイプをアピール。大半の町議を後援会役員とし、選挙戦を組織的に進める。中村さんの陣営は、町内で最も人口の多い地元の橘区を中心に、各地区に点在する支持者を足掛かりに草の根の選挙を展開する。(吉野淳一)
六百人(主催者発表)が集まった十日の前さんの事務所開きには、自民党県連会長の佐々木紀衆院議員や宮本周司参院議員、地元選出の二県議、白山、能美、加賀三市の市長、小松市副市長らが出席。後援会役員を担う町議会(定数一〇)の八議員のうち、病欠の一人を除く七議員も参加した。
後援会長を務める町議の山先守夫さんはあいさつで、中村さんの公約を「ばら色の施策をやる予算はどこにあるのか」と批判。前さんの町政に対して中村さんが語った「現状維持」との批判には「福祉や公共料金の安さなどでは他市町に負けていないし、その中で人口を維持している。現状維持のどこが悪いのか」と反論した。
集まった議員や市長も「前町長は広域連携にも大変熱心。だからきょう近隣の市長や副市長らが来ている」などと語り、現職を支援する立場を鮮明にした。
二日に開かれた中村さんの事務所開きには三百人(主催者発表)が集まった。会場には、町議二人と白山市議一人が出席。地元の橘区以外の区からも約百人の支持者が駆け付けた。
後援会長を務める町議の坂井毅さんは「この事務所開きを草の根運動の一歩として支持を広げたい」と強調。「橘は町内で一番大きいところ。一方、現職の地元の朝日は小さい。この選挙で負けたら、末代までの語り草になる」と地元の支持者に奮起を促した。
続く白山市議の村本一則さんは「中村氏は町民と対話する。民間で培ったノウハウを役場に入れる。その二つが魅力であり、強みだ」と主張。その上で「現在の白山市長が対話と参加を訴えて初当選した選挙では当時、応援する議員は少数派だった」と語り、町議の支持が少ない中村さんの背中を押した。
前さんの陣営は、自民党県連や公明党県本部、町区長会の推薦を後ろ盾に、現職を推す八町議の組織を生かして選挙戦を進める。中村さんの陣営は野球などで培った人脈を生かし、支持を広げていく。十六日には、町内で人口が三番目に多い草深区にも事務所を開く。