<解説> 「新人有利」に競り勝つ
2019年4月22日
敦賀市長選は一期四年の実績を前面に「躍進」を唱えた渕上さんが追いすがる米沢さんを制した。渕上さんは、後援会の市内十地区の支部による草の根活動で支持を拡大。七日の知事選では落選した現職を支持したため新知事と同じ自民推薦で組織力で勝る米沢さんが有利ともみられたが、連合福井の労組票も取り込み競り勝った。
選挙戦では、四年前に打ち出した公約の着手率は100%と強調。「子育て環境日本一」を掲げるなど住みたくなるまちづくりに取り組むことを訴えた。今回の公約の多くは一期目の延長線上にあり、目立った争点がなかった中、市民は現市政の継続を選んだかたちだ。前市長、前々市長が多選だったこともあり「一期で終わるのは短い」という声も根強かった。
四年後の北陸新幹線敦賀延伸を見据えたまちづくりが市の喫緊の課題。停滞する原子力産業に頼らない産業振興や人口減少対策などの難題も待つ。渕上さんは市役所新庁舎建設地や「人道の港 敦賀ムゼウム」の移転拡充計画などを巡り、市議会と対立することがあっただけに、今後の政治手法に向けられる目は厳しくなる。議会と丁寧に向き合う姿勢も必要だ。
(大串真理)