根深い担い手不足 町議選、定数割れ続出
2019年4月17日
十六日に告示された町議選では立候補者数が定数に達せず、定数割れとなる選挙もあった。地方議員の担い手不足の実態が、あらためて浮き彫りになった。
◆声かけても断られ 長野・辰野町
長野県辰野町議選(定数一四)は、立候補を届け出たのが十三人と、一九四七(昭和二十二)年の町制施行以来、初の定数割れとなった。選挙を前に現職議員九人が高齢化などを理由に次々と引退を宣言。後継者擁立もうまくいかなかった。
三期務めた宇治徳庚(のりみち)さん(75)も今回、気力、体力の限界を理由に引退を決めた。「何人もの人に声をかけたが、結局断られた。しょうがない」
議員報酬は月額二十二万七千円。子育て世代からは家族を養えないといった声もあり、議員の高齢化を招いている。武居保男町長は「若い人が立候補しにくいのは問題だが、単純に議員報酬を上げればいいという問題でもない。若い人のなり手が生まれやすい選挙のあり方をあらためて考えていく必要がある」と話した。
◆報酬「魅力ないかも」 愛知・幸田町
愛知県幸田町議選(定数一六)は立候補者が十五人しかおらず、定数割れになった。旧豊坂村と旧幸田町が合併した一九五四年以来初めて。県選管によると、県内の市町村議選で欠員が出たのは二〇〇三年四月に行われた旧作手(つくで)村(現在の新城市)の村議選以来。
議員九人が引退したが、後継者が見つからなかった人もいた。買い物していた主婦(57)は「町政に対する不満はそれほどないが、無投票が続くとますます政治への関心が薄れていく」と語った。
幸田町にはトヨタ系企業の工場もあり、一一年以降、人口は一割以上も増えた。町議の報酬は月額三十万円で、経費にあてる政務活動費は月一万円。ある現職は「家族を養う若い層には、魅力的な仕事ではないのかも」と話した。
◆長野・小谷村議選は再選挙
長野県小谷村議選の再選挙(被選挙数一)が十六日告示され、無所属新人の旅館業深沢英喜さん(53)が無投票で当選した。再選挙は、二〇一八年四月の村議選(定数一〇)で九人しか立候補せず、定数割れしたため。公選法に基づき村長選に合わせて実施された。