統一地方選2019

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中部各地で無投票当選相次ぐ 後半戦スタート

2019年4月16日

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 統一地方選は十四日、市長選や市議選などが告示され、後半戦がスタート。前半にあった県議選と同様に、各地で無投票当選が相次いだ。自身の名前を書いてもらうことなく決めた当選に、やや複雑な表情を見せる候補も。一票を投じる機会がなくなった有権者からは、不満の声が漏れた。

◆津市長選 「対抗いれば議論深まる」

 津市長選は、連続の無投票で現職の前葉泰幸さん(57)の三選が決まった。市の今後についての議論は、二回続けて行われなかった。

 津市美杉町八知の主婦倉田和子さん(80)は「無投票は絶対にだめ。対抗馬として、だれか出てほしかった。異なる政策が出てくることで、議論も深まるのに」と残念がった。

 当選した前葉さんは「油断したり、おごったりすることなく謙虚に受け止めたい。無投票であるがゆえに、市政を任せてもらった責任の重さを実感する」と表情を引き締めた。

 告示前の早い時期から無投票が予想されてきた。議会は共産党を除けば、オール与党体制。その共産も候補擁立を模索したが、不調に終わった。

 前葉さんは十四日午後五時に立候補の届け出が締め切られると、支援者らに当選を報告。地域の課題や市に対する要望を聞く地域懇談会を三年半で二百二十二回開いた実績を強調し、「市民の皆さまからの意見はしっかりといただいている」と述べた。

◆多治見市長選 「選挙あるべき」

 岐阜県多治見市長選は三回連続の無投票で、現職の古川雅典さん(66)が四選を決めた。当選を祝う支援者を前に、古川さんはやや自虐的に「また無投票か、運のいいやつだなと、多くの人から言われ続けた」と述べた。「四期目は独り善がりでなく、市民とともに街づくりをする」とも誓った。報道陣からの無投票についての質問には「選挙の結果で方向修正を図るのが本来の姿で、私自身にとっても決して良いことだとは思わない」と答えた。

 多治見市は、統一地方選前半の県議選も無投票。平成に入って県議選多治見市選挙区で選挙戦になったのは一回だけだった。十四日に市長選と同時に告示された市議選(定数二一)には二十四人が出馬し、選挙戦になった。

◆みよし市議選 議会「女性ゼロ」のまま

 愛知県みよし市議選(定数二〇)は旧三好町時代の一九七九年以来四十年ぶりに無投票となった。改選前、県内三十八市で唯一、女性議員がいなかったが、今回も早々に「女性ゼロ議会」に決まった。

40年ぶり無投票となった愛知県みよし市議選のポスター掲示板。男性20人がずらりと並ぶ=15日

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 二〇一七年十一月の前回市長選、今回の統一地方選前半にあった県議選みよし市選挙区(定数一)に続く無投票。

 十四日夕方、三選を決めた現職で議長の塚本克彦さん(59)は事務所で支援者を前に「当選はうれしいが、自分への評価を知るうえでも、選挙戦の方がよかった」と複雑な表情を浮かべた。「議会改革」の必要性を唱え、定数見直しを検討する姿勢を示した。

 二回連続で無投票で選出されている小野田賢治市長(68)=二期目=は取材に「選挙があるに越したことはないが、無投票も選挙結果。議員と市政を発展させていく」と語った。

 みよし市はトヨタ系企業も多く財政力に恵まれる。ショッピングセンターで買い物をしていた主婦(34)は「みよしは医療や福祉が整っている。市議といわれても、役割がよく分からず、学校行事であいさつを読む人のイメージしかない」と冷ややかだった。

◆議員の地位低下も一因

 <名城大・昇秀樹教授(地方自治)の話> 旧民主党で小沢一郎氏が実権を握っていたころは、市長選でも「保守対リベラル」の戦いがあった。民主党政権崩壊後は「リベラルには任せられない」との世論が定着し、野党勢力は候補を立てられなくなったのだろう。市議選の無投票は議員の社会的地位が低下し、なりたい人が減ったせいではないか。政務活動費など金をめぐる問題で評価を下げた。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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