福岡知事選は自民推薦候補が惨敗 麻生さん「心からおわび」
2019年4月8日
福岡県知事選で武内和久さんの落選が決まり、支持者らに頭を下げる麻生副総理兼財務相=7日夜、福岡市で |
自民党の支持層が分裂し、党推薦で元厚生労働省官僚の武内和久さん(47)が、党本部の決定に反発する地元選出国会議員らの支援を受けた現職の小川洋さん(69)に敗れた福岡県知事選。武内さん陣営の報告会場は、投票終了と同時に落選確実の見通しが伝わると重苦しい沈黙が会場を包み、報道陣のカメラ音だけが響いた。
麻生太郎副総理兼財務相が擁立を主導した候補の惨敗。「当選させられなかったのはわれわれの至らぬところ。心からおわびする」。硬い表情で頭を下げたが、自民分裂を招いた責任には最後まで触れなかった。一方の武内さんは「挑戦の機会をいただき本当に感謝している」と吹っ切れたような表情をみせた。
一月末に党推薦を得て、麻生渡前知事を後援会長に迎えた当初は、政権党のお墨付きと“ダブル麻生”の看板を背に活動を始められた。だが、党推薦を「ごり押し」した麻生副総理への反発は想像以上だった。
相次ぐ党国会議員の「造反」や支持団体の離反。自民県議団は全面支援を約束したが、県議選への影響を懸念する議員の面従腹背は明らかで、街頭で一人マイクを握る姿が目立った。
最大の援軍と期待した麻生副総理の“秘蔵っ子”高島宗一郎・福岡市長が、武内さん支援を表明したのは告示前日。福岡県と福岡市が対立する宿泊税問題など政策論争に活路を模索したが、有権者から返ってくるのは「なぜ麻生さんは、知事をいじめるの」という声。支援議員は「選挙構図が政策をのみ込んだ」と打ち明ける。選挙終盤には、下関北九州道路建設計画を巡る麻生派参院議員の「忖度(そんたく)」発言が飛び出し、劣勢を決定付けた。
武内さん陣営の報告会場で、麻生副総理は憮然(ぶぜん)とした表情で、喜びにわく小川さん陣営のテレビ中継に目を向けた。自民推薦候補の惨敗という結果に、ある選対幹部は恨み節を漏らした。「結局、麻生さんにかき回された」「この選挙は初めから間違いだった」