18歳の投票率懸念 入学、就職、住所変更で薄い関心
2019年4月6日
今回の統一地方選は選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初めて行われるが、その18歳の投票率低迷が懸念されている。入学や就職であわただしい上、住所が変わって地方選への関心を失う人が少なくない。さらに国政選挙と比べると、各メディアの報道も少ない。7日は各県議選などの投開票。果たしてどれぐらいの若者が投票に足を運ぶのか。
五日の名古屋大の入学式。医学部の新入生、松井清高さん(18)が家族と暮らす名古屋市千種区は、県議選は無投票だったが、名古屋市議選は選挙戦になった。七日が投票だが、松井さんは「この時期、新入生歓迎会があったり部活を決めたりと忙しい。選挙に行くのは難しい」と語った。
統一地方選の四十一道府県議選の平均投票率は前回(二〇一五年)、前々回(一一年)とも40%台。一〇年以降の国政選挙が衆参とも50%台を維持しているのと比べると低い。
国政選挙では、与野党が政策の違いを強調するのに対し、県議選などでは各候補の相違は、必ずしも明確ではない。愛知学院大の森正教授(政治学)は「選挙の経験の少ない若い人はなおさら、違いを理解するのが難しい」と指摘する。
進学などで県境を越えて引っ越し、住民票を移して間もない場合、知事選や県議選の投票権はない。故郷に住民票を残している場合は、帰省して一票を投じることができるが、名古屋市の中京大に入学した兵庫県出身の男子学生(18)は「実家に戻るのは、面倒くさい」と明かす。
過去の国政選挙の十八歳の投票率は、十九歳より高い。各高校が投票の大切さを教える授業を行っている成果とみられている。今回の統一地方選は卒業後の春休みと重なるため、生徒への呼び掛けは十分にできなかったよう。
愛知県知立市の知立東高校は、政治への関心を高めてもらう授業を行っているが、この春の卒業生が最後に受けたのは昨年十一月。担当の増井強志教諭(50)は「果たして選挙に行ってくれるか」と気をもむ。
福井県選管は、福井市の羽水高校を三月の卒業式の日に訪問。県外へ引っ越す前に知事選、県議選の期日前投票ができることなどを説明した。
候補者もまた、若者を動かすことはできる。
知事選と県議選がある三重県鈴鹿市在住の名古屋大文学部の新入生、上野菜名さん(18)は「駅前で候補の演説を聞いて、いいなと思った。投票には行きます」と話した。
(森若奈)