旧民進系「看板」複雑に
2019年3月29日
今回の統一地方選は、旧民進党の分裂以降、初めて行われる。29日告示、4月7日投開票の各県議選、名古屋市議選には旧民進系候補が出馬するが、公認や推薦を受ける党は立憲民主、国民民主、地域政党など多様。国民に党籍があっても、無所属で出る人もいる。複雑化した「看板」の相違は、有権者には分かりにくそう。
愛知県議選の旧民進系出馬予定者は立民公認、国民公認、無所属に分かれる。いずれであってもほぼ全員が、連合愛知が支援する地域政党「新政あいち」の推薦を受ける。
国民公認は九人。ただ、出馬予定者で国民党籍がある人は二十五人いる。七人は党の推薦にとどめ、九人は推薦さえ受けない。
新政あいち推薦のみで、自分が属する国民の公認や推薦を受けない一人は「意味がないから」と明かす。共同通信が今月に実施した世論調査で国民の支持率は0・8%。党の名前で票は増えないとの見方だ。
この出馬予定者は「新政あいち推薦の方が大事」と言う。自身は労組出身。新政あいちは、旧民進系地方議員らが昨年二月につくったが、旧民進勢力の結集を願う連合愛知の意向も背景にあった。「新政あいち推薦」は、連合も推していることを示す。
愛知と同様、旧民進系地方議員が多い三重県。
立民、国民所属の現職はおらず、県議選で両党の公認、推薦を受ける旧民進系の出馬予定者はいない。背景にあるのは、旧民進の顔で、地元選出の岡田克也衆院議員の意向。岡田氏は民進の初代代表で、国政では無所属を貫く。「野党の再結集」が持論だ。
ただ、県議選で候補を擁立する二つの地域政党は、違いが見えにくい。
新政みえは、旧民進系の県議会会派と同じ名前。民主党時代の二〇〇二年、会派所属県議らが立ち上げ、民主色を避けたい候補らを公認してきた。
三重民主連合は昨年、岡田氏が中心となって結成。旧民進の県連を事実上引き継いだ。他の三重県選出国会議員も所属。夏の参院選三重県選挙区での戦いに備える組織で国政色が強いが、県議選では、岡田氏に近い五人を公認した。
新政みえ、三重民主連合に政策の相違はほぼなく、どちらの公認、推薦であっても、当選者の多くは県議会の同じ会派に属する見通し。
新政みえ関係者は「僕らでも、だれがどちらの公認、推薦だったか分からなくなる」と告白。「今は国政の野党全体の過渡期。中央で再編が進めば、三重も変わってくる」と語った。
(中崎裕、森耕一)