統一地方選2019

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県議選、無風の訳は

2019年3月16日

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 統一地方選で行われる愛知、三重、岐阜、長野、福井、滋賀の各県議選で無投票当選が相次ぐ見込みだ。六県で平均すると、全当選者のおよそ三人に一人が、投票用紙に名前を書いてもらうことなく、バッジを着けることになりそう。背景には、候補擁立をめぐる政党の思惑などがある。政治への意思表明の機会を奪われることに、有権者は何を思うのか。

◆(ア)三重・熊野市 南牟婁郡(定数二)

 県南部の選挙区で、自民現職と旧民進系無所属現職の二人だけが出馬する見通し。無投票なら二回連続。

 定数は一つ減るはずだった。県議会は二〇一四年、「一票の格差是正」を目的に一九年の選挙から全体の定数を五一から六減することを決定。熊野市・南牟婁郡選挙区が、亀山市選挙区より人口が少ないのに定数は多い「逆転現象」も解消されることになった。だが昨春、旧民進系会派が主導し、定数減をやめる条例改正案を可決。一度も選挙をしないまま、元に戻した。

 「人口の減る県南部の声を県政に」が大義名分。だが、減員を免れた熊野市・南牟婁郡選挙区の有権者は、投票の機会を失いそう。

 熊野市の会社員矢賀久広さん(73)は「選挙で政策論争をすれば、地域の課題が見えてくるのに」と惜しむ。御浜町の石材業湊賢一郎さん(42)は「県議の仕事は見えにくい。現職への不満も特にないので、立候補者がいないのでは」と話す。

◆(イ)福井・鯖江市(定数三)

 前回に続き、自民系三人が無投票で当選する公算が大きい。現職三人に加え、自民党衆院議員の長男が新人として参戦を表明。選挙戦が予想されたが、自民公認を得ていた現職の一人が告示三週間前に引退を発表した。党関係者は「話し合いで、交代が決まった」と舞台裏を明かす。

 引退する現職と新人は地盤が重なるといい、地元の無職森家武男さん(78)は「争えばしこりが残る。仕方がない」。市内在住の橋本国宏さん(75)は「選挙なしでは論争がなく、停滞感もある」と話した。

◆(ウ)岐阜・多治見市(定数二)

 自民現職と、連合の支援を受ける無所属現職がそろって四選を目指す。自民系と、旧社会党などの非自民系が長く議席を分け合ってきた選挙区で、平成になってから選挙戦になったのは二〇〇七年しかない。

 四児の子育て中という飲食店員菅野智春さん(34)は「選挙カーをほとんど見たことがない」と嘆く。無職清水光美(みつよし)さん(77)も「対抗馬が出て政策論争をしてほしい」と望む。多治見では統一地方選後半に市長選、市議選があるが、市長選も三回連続で無投票になる公算が大きい。

◆(エ)愛知・蒲郡市(定数一)

 三期目を目指す自民現職の他に立候補の動きがない。無投票なら二回連続。非自民系蒲郡市議は「前回も民主党(当時)の勢いが落ちていて、擁立に至らなかった。今回も、非自民勢力にまとまって候補を擁立する動きはない」と明かす。

 市内で自動車販売店を営む千賀充能(みつよし)さん(56)は現職の支援者だが、「他に出る人がいないのは残念。選挙で人々に認知され、当選するのが本来ですよね」と語る。蒲郡市形原町の総代、天野忠則さん(73)は「県政に対する切実な課題はなく、身近な市議選より市民の関心は薄い」と分析した。

◆少人数議会にする方法も

 <昇秀樹・名城大教授(地方自治)の話> 旧民主党政権の失敗が影響し、自民以外の候補の当選が難しくなったことが大きい。県議の報酬は高く、低報酬が背景にある町村議会の担い手不足とは別の話だろう。ただ、制度の問題もある。立候補制限を緩和し、公務員や会社員が兼業できるドイツのような制度にすべきだ。役割は行政のチェックだけに限定すればいい。仕事を軽減しないのなら、米国などのように少人数議会にする手もある。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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