大阪知事、市長ダブル選へ 都構想案否決で入れ替わり
2019年3月8日
大阪都構想の制度案を作る大阪府、大阪市の法定協議会が七日、市役所で開かれ、十一月二十四日の住民投票実施を盛り込んだ日程案が公明党などの反対多数で否決された。松井一郎知事と吉村洋文市長は住民投票を巡る交渉が決裂したと判断、事態打開を目指して辞職し、四月七日投開票の統一地方選前半戦に合わせ、入れ替わって市長、知事のダブル選に踏み切る。
法定協終了後、松井氏は「このままでは死んでも死にきれない。もう一度民意を聞く」と記者団に述べた。両氏は八日、府市両議会が閉会する三月中旬の日付を記した辞職願をそれぞれ議長に提出、記者会見で立候補を正式に表明する。知事選は二十一日、市長選は二十四日に告示される。
統一地方選前半戦は府議選、市議選も同じ投開票日で、松井氏らは首長選をぶつけ、盛り上げ効果を狙う。単純な出直し選の場合は半年後に再び残りの任期満了に伴う選挙をする必要があり、入れ替わり出馬には巨額の経費がかかるとの批判をかわす目的もある。だが異例の政治手法で、他党は「府民、市民をばかにしている」(自民党府議団の花谷充愉(みつよし)幹事長)などと批判を強めており、選挙戦でも是非が問われそうだ。
政令指定都市である大阪市を廃止し、府とともに特別区を新設する都構想の住民投票を実施するには、法定協で制度案を決定し、府市両議会で承認を得る必要がある。松井氏が代表を務める大阪維新の会は法定協と両議会で過半数の勢力を確保できておらず、公明党に協力を求めてきた。同党府議団の八重樫善幸幹事長は「スケジュール優先は住民無視につながる」と反対理由を説明した。
自民党は「受けて立たざるをえない」(花谷氏)とダブル選にそれぞれ候補を擁立する意向を表明。共産党市議団の山中智子幹事長も「維新政治を終わらせるため、政党や所属を超えて手をつなぐべきだ」と強調した。連合大阪も「反維新」勢力の結集を求めている。